平成16年(ネ)第2179号 被控訴人関西即売準1

平成16年(ネ)第2179号  独禁法違反行為に対する差止請求控訴事件
 控 訴 人  (一審原告)   エアポートプレスサービス株式会社
 被控訴人  (一審被告)   関西国際空港新聞販売株式会社ほか

準備書面1

平成17年3月15日

大阪高等裁判所 第2民事部 4係 御中

                       (送達場所) 〒530-0004
                              大阪市北区堂島浜1丁目2番6号新ダイビル906号
                              大阪西総合法律事務所
                                 被控訴人関西地区新聞即売株式会社訴訟代理人
                                      弁護士  石   井   教   文
                                      弁護士  吹   矢   洋   一
                                     TEL 06(6344)1550  FAX 06(6433)1553

  控訴人は、準備書面(2)において、本件差止請求の一要件である「著しい損害」(が生じるおそれ)について「第1 営業の源泉である新聞供給の閉塞の危険」「第2 「著しい」をもっぱら金銭上の側面で認定した原判決の誤り」を指摘し、原判決を不当なものと主張する。
  控訴人の主張は全般に、独自の見解に基づき客観的な根拠を欠くものと思料するが、被控訴人関西即売は、以下に必要な範囲で反論する。
第1 「営業の源泉である新聞供給の閉塞の危険」に関して

  なんばミヤタからの新聞供給について

  控訴人は、なんばミヤタの役員構成等を指摘し、「なんばミヤタはいつでも一審原告に対する全国紙の供給を中止しうる立場にあり、且つ、それが可能である」(準備書面(2)第1の3)と主張する。
  しかし、被控訴人関西即売は、関西国際空港の開港以前からなんばミヤタと良好な取引関係を保っており(乙エ5号証)、同社に対して、控訴人への卸売を理由として供給停止等の圧力をかけている事実は一切ない。
   このことは、控訴人が関西国際空港の開港以来、なんばミヤタからの新聞供給を受け続けていることからも明白である。
  また、この点について控訴人は、(仮になんばミヤタが)「係属中に供給をストップすれば、たちまち一審原告が市場から退出させられ、ひいては一審原告に「著しい損害」が発生して一審原告が一審被告らに求めている取引拒絶の差止める必要性が顕在化する」と主張する(準備書面(2) 第1の3)が、大口の供給先からの商品供給をストップされる可能性があるというだけであれば、どのような商取引においても一般に想定しうる当たり前のことにすぎない。
  上記からすれば、現状において独禁法24条の「著しい損害」が現に生じておらず、また生じるおそれが顕在化しているわけでもないことは、控訴人自身も半ば自認するところであるといえよう。

 公正取引委員会からの通知等について

  また、控訴人は、平成8年12月25日付の公正取引委員会からの通知(甲5号証)や、共同被控訴人の一部の当時の代理人名義のものとされる書簡(甲36及び37号証)の記載内容を自己に有利な事情として引用するが、各々の書面の記載内容から、原告主張の事実が導き出されるものではないというべきである。
  たとえば、甲5号証の公正取引委員会からの通知は、「独占禁止法違反の未然防止を図る観点から関係人に注意した」と述べられているにすぎず、むしろ独占禁止法違反の行為がなかったことを前提として、行政指導が行われたことを示すにすぎないものであるし、甲36及び37号証の書簡についても、本来代理人と依頼者間での内部文書に過ぎないものを、自己に有利に曲解するものでしかない。
第2 「「著しい」をもっぱら金銭上の側面で認定した原判決の誤り」に関して

 原判決の判断の解釈について

  控訴人は、原判決が、一審原告は「(2)ほそぼそながらも市場に参入している」「(3)5%とはいえマージンを得ている」「(4)共同取引拒絶がなければ50%のシェアを確保できたという事実は認められない」の3点を理由に「著しい損害」の発生を否定したものと解釈する(準備書面(2) 第2の1)。
  しかし、原判決は、「著しい損害」の発生を要件とした独禁法24条の法意を、「幅広い行為が独禁法19条に違反する行為として取り上げられる可能性があることから、独禁法24条は、そのうち差し止めを認める必要がある行為を限定として取り出すために、「著しい損害を生じ、又は生ずるおそれがあるとき」(以下「著しい損害」という)の要件を定めたもの」と理解し(原判決19頁)、それを前提に、(既に市場に参入し5パーセントとはいえマージンを得ている原告が)「単に共同取引拒絶がなければより大きい利益を上げることができたというだけでは、差止めを認めるに足りる「著しい損害」に当たるとはいえないというべきである」(現判決19頁)と判示しているものであって、市場参入の態様(ちなみに原判決は、「ほぞぼそながらも」などといった表現を用いてはいない)、マージンの多寡などを本質的な問題としてはいない。

 「「著しい損害」の認定を充足すべき実質的要件」について

  控訴人は、「著しい損害」のポイントとして、@一審原告の関空島における市場参入時期はいつか?A一審原告と一審被告らとが公正な条件の下で競走できたか?などといった要件を挙げる(準備書面(2) 第2の3)が、それ自体、独自の見解であって首肯し得ないし、それに基づく事実の主張も、証拠に基づかない一方的なものといわざるを得ない。
  次いで控訴人は、控訴人が関空開港以前からJAL、JAS、ANAに対して営業活動をおこなっており、不当な取引拒絶がなければANA国際線のみならず、他の航空会社との間で納入契約を終結できていた可能性を排除できないとする(準備書面(2) 第2の4)。
  しかし、この点についても、まさに「単に共同取引拒絶がなければより大きい利益を上げることができたというだけでは、差止めを認めるに足りる「著しい損害」に当たるとはいえないというべき」との原判決の判示がそのままあてはまるのであって、控訴人の主張は失当である。
  なお、本件において共同取引拒絶があった事実はなく、上記公正取引委員会からの通知においても独禁法違反の行為があったとされていない(甲5号証)ことを、念のため指摘しておく。

 「損害賠償請求の基礎となるシェア」及び「損害賠償請求額(逸失利益額)」 ついて

 そもそも、独禁法24条における「著しい損害」が、損害賠償請求額(逸失利 額)といかなる関係を有するのか、控訴人の主張から明らかとはいえないが、その点をひとまず置くとしても、「大企業であるANA(国際線)に納入できている」との一事をもって、関空島におけるシェア50%を取れていた(準備書面(2) 第2の5)との控訴人の主張を前提とする損害賠償請求額(逸失利益額)の主張は、具体的根拠を欠く空論であるとあると言わざるを得ない。
  また、仮に損害賠償請求額として算定するのであれば、マージン差益(粗利)から販売費及び一般管理費を差し引かねばならず、この点においても控訴人の算定手法は片手落ちである。

以上