平成16年(ネ)第2179号 独占禁止法違反行為に対する差止請求訴訟事件
控 訴 人   エアポートプレスサービス株式会社
被控訴人  日経大阪即売株式会社 外5名

答 弁 書

平成17年1月13日

大阪高等裁判所第2民事部4係  御中

     〒541−0041
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             被控訴人訴訟代理人
                      弁護士    米    田    秀    実
 
                        同     高    島    志    郎

                        同     小  坂 田    成    宏


第1  控訴の趣旨に対する答弁
  本件控訴を棄却する。
 訴訟費用は、第1・2審とも控訴人の負担とする。
との判決を求める。
第2  控訴の理由に対する答弁
  控訴理由1について
  第1文のうち、(1)は否認し、(2)(3)は認める。
  原判決は、「京阪神地区において、即売ルートで流通する全国紙のほとんどすべてが、被告卸売会社らを経由して流通している。」と認定しているのであって、「販売ルートで流通する全国紙のほとんどすべてが、被告卸売会社らを経由して流通している。」との認定はしていない。また、控訴人は、被控訴人卸売会社5社として、新販、大読社、関西販売、近販、日経大阪販売開発を摘示しているが、日経大阪販売開発は被控訴人ではない。
  第2文及び第3文は否認する。
  原判決は、争点(3)「被告関空販社を除く被告らによる本件取引拒絶についての共同の有無」について、被控訴人日経大阪即売が本件各取引拒絶を行っていないことは明らかである旨判示している(原判決第3の4)。
  控訴理由2について
  第1文は認める。
  第2文は争う。
  なお、繰り返しになるが、日経大阪販売開発は被控訴人ではない(原審のおいて、控訴人自ら日経大阪販売開発に対する訴えを取り下げており、日経大阪販売開発はもはや訴訟当事者ではない)。
  控訴理由3について
  認める。
  控訴理由4について
  控訴人が指摘する文献(谷原修身著『独占禁止法と民事的救済制度』中央経済社)151頁ないし152頁に控訴人が主張する内容の記載があることは認めるが、原判決の正当性には何ら影響せず、その法的評価については争う。

以上

  控訴理由5について
  控訴人が指摘する文献(公正取引協会『公正取引』597号)16頁ないし17頁に控訴人が主張する趣旨の記載があることは認めるが、原判決の正当性には何ら影響せず、その法的評価については争う。控訴人らが引用する文献の記載は、判例多数説に反対する一部の意見に過ぎない(公正取引協会「公正取引」597号15頁淡路発言、同16頁山田発言)。
  控訴理由6について
  第1文は争う。
  第2文は、公正取引委員会が平成8年12月25日付書面(甲第5号証)記載の通知をしたことは認めるが、「卸売5社が独禁法違反の行為(共同取引拒絶)を行っていたことに対し」との主張は否認する。かかる公正取引委員会の「注意」は独禁法上の処分ではなく、いわゆる行政指導に過ぎない。むしろ、かかる通知書からは、平成8年当時、公正取引委員会が関空島における新聞販売に独禁法上の問題はない(卸売5社には独禁法違反の行為は存在しない)と判断したことが認められる。
  第3文は否認する。
  空港島における日経新聞の販売は被控訴人日経大阪即売が直接行っており(但し、JR西日本・キオスクに対する販売については被控訴人日経大阪即売は関与せず、日本経済新聞社本社から被控訴人近販を経由して流通している)、被控訴人関空販社は一切販売行為を行っておらず、配送及び集金業務のみ行っている。
 第4文、第5文は否認する。
  被控訴人日経大阪即売は被控訴人関空販社に対して全国紙を販売しておらず、配送及び集金業務を委託しているに過ぎない。
  第6文は不知。
  第7文は認めるが、第8文は否認する。
  被控訴人日経大阪即売は訴外「なんばミヤタ」に仕入れストップの圧力などかけていない。
  第9文は不知。
  第10文は争う。
  控訴理由7について
  争う。
第3  被控訴人日経大阪即売の主張
  被控訴人日経大阪即売の被告適格について
  控訴人が日経大阪即売開発に対して取引申込をしたという平成6年1月28日から平成15年5月1日までの9年以上もの期間、日経大阪販売開発及び被控訴人日経大阪即売のいずれも、一度も控訴人から新聞取引の申し込みを受けたことがなく、したがって、平成15年5月2日の控訴人からの新聞取引の申し込みに対する拒否をもって、従前からの取引拒絶の継続などと言うことは到底できない。
  また、空港島においては被控訴人日経大阪即売自身が駅売店等の小売店や、航空会社ほかの最終購買者に対して販売を行っているのであって、駅売店、航空会社等への販売を行う控訴人とは、まさに競争関係に立つものであって被告日経大阪即売が控訴人の取引申込に応じないことについては、何らの独占禁止法違反も観念する余地はない。
 「著しい損害」要件について
  控訴人は、独禁法24条が「著しい損害」の発生を差止請求の要件としていることに関して、文献を引用して独自の主張を行っているが、結局のところ、実際にどのような場合に「著しい損害」と認められるかは、個別のケースにおける具体的な侵害行為の態様や程度に応じて裁判所が個々に判断するものである。そして、原判決も本件の具体的事情に即して「著しい損害」は認められないと認定しているのであって、至極妥当な結論と言うべきである。
  したがって、原判決は、法令解釈及び事実認定のいずれの点においても何ら不当なものではなく、極めて妥当な判断がなされている。
  なお、控訴人は、控訴理由書においても、事実に基づかない主張(前述のとおり、被控訴人日経大阪即売は訴外「なんばミヤタ」に仕入れストップの圧力などかけていない。)あるいは抽象的な主張(「控訴人は空港島内における全国紙の販売につき、常に納入打ち切りの不安をかかえたままであり、販路の拡大がはかれないことはもちろんのこと、販路の維持さえ危うい状況にある」、「控訴人は空港島内における全国紙の販売については、いわゆる「ジリ貧」の状況に追い込まれており、いつ撤退してもおかしくない事態に陥っている」等)に終始しており、「著しい損害」を認めうる余地は一切ない。
  更に言えば、原判決が認定するとおり、日経新聞については、京阪神地区の即売ルートにおいて、被控訴人日経大阪即売を経由し、被控訴人日経大阪即売が直接売店等に販売する場合のほか、被控訴人日経大阪即売が別の即売業者に販売して売店等に販売する場合や、別の即売業者が更に別の即売業者に販売する場合などがあり、控訴人においては、被控訴人日経大阪即売以外の即売業差から即売ルートの日経新聞を仕入れることが可能であり、現に、「なんばミヤタ」から仕入れ、市場に参入しているのであって、この点からも、市場に参入できないことあるいは市場からの退出を余儀なくされることによって「著しい損害」が生じ、又は生ずるおそれがある」との要件が満たされる余地はないと言うべきである。
 控訴人が損害が生じていると主張している事柄は、単に、現在の取引よりもより有利な条件での取引を行いたいとの願望、あるいは、控訴人と競合する関係にある被控訴人日経大阪即売に対して、即売ルートの日経新聞を控訴人へ販売し、被控訴人日経大阪即売自身は直接売店等に販売しないことを求め、その結果、控訴人のシェアを向上させたいとの願望に過ぎない。そのような願望は、独占禁止法の関知するところではないのであって、控訴人の主張は失当極まりないものと言うほかない。
  結語
 以上より、控訴人の本件控訴は理由がなく、直ちに棄却されるべきである。

以上