平成14年(ワ)第11188号・平成15年(ワ)第6629号
独禁法違反行為に対する差止請求事件
原 告  エアポートプレスサービス株式会社                                           
被 告  関西国際空港新聞販売株式会社 外6名

準 備 書 面(7)

平成15年12月2日

大阪地方裁判所第4民事部合議A係 御中

                              原告訴訟代理人  弁護士  池   上        徹

                                  同      弁護士  岡   野   英   雄

                                  同      弁護士  布   施        裕

                                  同      弁護士  宮   永   堯   史

                                  同      弁護士  宮   野   皓   次

第 1  本件の公正競争阻害性について

 原告が公正競争を阻害された空港島市場の現状について

  空港島にかかる新聞市場においては,全国紙(朝日・毎日・読売・産経・日経)の発行本社5社が,その傘下の被告卸売5社・被告関空販社と,緊密に結合している。甲第24号証図1は,発行本社5社・卸売5社・関空販社の系列関係を示す。同図2は資本参加の状況,同図3,3−1,3−2は役員の緊密な兼務状況をそれぞれ一覧表にまとめたもので,結合の実情を示すものである。

 本件被告らの扱う商品(全国紙・スポーツ紙・英字紙・夕刊紙)は,発行本社5社及び関係子会社によって発行されるものがほぼ100%である。また,その資本支配・人的支配・商品供給支配からみれば,発行本社5社の販売系列・商品供給における影響力は甚大である。

 空港島における新聞市場では,卸売5社によって新規参入は全く排除されているから,一定の取引分野における競争の実質的制限にあたるものである。

  空港島の新聞市場は,同市場における関係業界の結合状況・流通経路・関空販社を軸とした販売体制からみて,実質的に競争が制限されている不公正な排他的市場であり,新規参入が完全に排除されている現状にある。

  流通経路の実情等について

  新聞販売の一般的な流通経路
  東京と関西とでは流通経路が異なる。関西(京阪神地区)では,発行本社から,本社と人的・資本的つながりの深い即売会社(被告卸売5社)を経由する。東京(首都圏)では,このような即売会社がなく,4社の即売業者が卸売りを受け持つが,発行本社との人的・資本的つながりはほとんどない(甲第24号証図4〜7参照)。
  ちなみに,被告卸売5社は,京阪神にのみ存する発行本社直系の子会社であり,全国的にも例のない特殊な存在である。

  空港島に関する新聞の流通経路について
  空港島においては,被告関空販社が被告卸売5社から供給を受けて,航空機(搭載紙)や売店(即売)に販売する。原告APS社は,即売業者である株式会社なんばミヤタから供給を受けて販売している(甲第24号証図8・9参照)。

 上記流通経路における被告ら及び原告の占める位置について

 空港島における被告ら及び原告の新聞の仕入れ及び卸売りの標準的なマージン率については,搭載紙について甲第24号証図10,即売紙について同図11参照。

  被告関空販社は,被告卸売5社から定価の75%で仕入れ,80〜82%で販売する。1ヶ月販売数は,搭載紙で約30万部,即売紙で約2万部である。利益率は5〜7%。

  原告APS社は,被告卸売5社から取引を拒絶されているため,株式会社なんばミヤタが定価の75%で仕入れたものをまわしてもらって,定価の80〜82%で販売するが,利益率は,なんばミヤタと併せて5〜7%である。卸売5社からのこのなんばミヤタへの供給停止への圧力はすさまじい(甲第23号証3〜8頁,とりわけ同号証の資料・10・12・14・15)。この仕入れは,公正取引委員会の調査があったことにより担保され,現在,どうにかその命脈を保っている。

  空港島の新聞市場における他の競争者の有無
  原告と被告関空販社をのぞいて他にはいない。
  この市場は,公正競争が阻害され,かつ実質的に競争が制限されている排他的市場であり,新規参入ができない。なぜなら,新規参入者は仕入れができない(卸売5社も発行本社5社も売らない)。また,商品ストップの不安がある。また,万一供給が止まったら信用にかかわるので,顧客側もそのような新規の参入者とは取引をしないと思料される。
第 2  著しい損害の発生等について

  現在の株式会社なんばミヤタからの仕入れルートでは,利益率が,なんばミヤタと原告APS社とを併せて5〜7%である。被告関空販社のように,被告卸売5社から直接仕入れることができれば,単独で5〜7%利益率を手中にできる。 しかし何よりも重要な点は,原告が,これまで長期にわたり卸売5社から取引拒絶を受け,また現に受けていることにかかわる。これにより原告は,顧客の新規開発に大きな障害をきたした。正当な営業活動を封じられることで,多大の利益を失い続けてきたのである。そして,現に量的拡大が阻害されている。そして,なんばミヤタからの仕入れでさえも,止まるかも知れない不安を抱えている。

  当然のことながら,原告の仕入先が,被告関空販社や他の二次卸業者からの仕入れであれば,一次卸売業者である被告卸売5社からの仕入れより割高になる。なお,被告関空販社は,原告にとっては競争相手であり,競争相手からの仕入れはできない。

  また,現在でも,原告APS社がすべての商品を仕入れることができているわけではない。準備書面・の別紙「損害金一覧表」4頁にある,地元泉州版については,これまでと同様に駅売店から仕入れている。
第 3  被告関空販社決算書(甲第13号証)について
上記決算書は,被告関空販社が全国紙の販売を続行していることの証左である。

 被告各社は,被告関空販社には「配達業務」と「代金回収業務」とを受託させているにすぎないという。しかし,代金回収業務とは,通常は,卸売5社がそれぞれ売り上げた代金を顧客に請求し,その集金を被告関空販社が代行するというのでなければならない。
  しかるに,上記決算書(甲第13号証)をみれば,被告関空販社は新聞売上高と新聞仕入高を各計上している。商品を仕入れて販売し,顧客にその代金を請求し,これを回収することを,通常,販売という。常識として,「受託業務」とはいわない。

  平成8年7月から,被告卸売5社が被告関空販社に対し,代金回収につき業務委託をしているというのであれば,新聞売上高は少なくとも新聞仕入高と同額程度またはそれ以下でなければならない。
  ところが,上記決算書では,新聞売上高が,いずれも,新聞仕入高を相当額上まわっている。たとえば,新聞売上高・208,355,602円に対し,新聞仕入高・186,613,300円が計上されている。これは,仕入商品にマージン21,742,302円を乗せて売り上げた事実を示すもので,被告関空販社が,実際には新聞販売を行っている事実を物語るものである。
新聞市場の概要
〔原告APS社作成〕