第 1  被告準備書面に対する認否等について
第 2  決算書(甲第13号証)に対する被告卸売5社の主張の経済的不合理性について
第 3  原告の被った「著しい損害」について


平成14年(ワ)第11188号・平成15年(ワ)第6629号
独禁法違反行為に対する差止請求事件
原 告  エアポートプレスサービス株式会社
被 告  関西国際空港新聞販売株式会社 外6名

 準 備 書 面 (8)

平成16年1月19日

大阪地方裁判所第4民事部合議A係 御中

原告訴訟代理人  弁護士  池   上        徹

同      弁護士  岡   野   英   雄

同      弁護士  布   施        裕

同      弁護士  宮   永   堯   史

同      弁護士  宮   野   皓   次

第 1  被告準備書面に対する認否等について
被告1(関空販社)の準備書面・について
  空港島における新聞の流通経路にかかる被告関空販社の主張を否認する。
 被告関空販社は,被告卸売5社から仕入れた新聞を航空会社(搭載紙)や売店(即売紙)に販売している。
被告2(株式会社新販)の第4準備書面について
 被告新販が朝日新聞(大阪本社)の取引につき,朝刊で0.25%,夕刊で0.21%のシェアを有するとの点は不知。
  その余の新聞の流通についての主張についても,原告準備書面・の関係記述に反するものはすべて否認する。
被告3(株式会社大読社)の準備書面5について
  被告大読社が発行本社から卸売を受け,空港島内の航空会社等に直接に販売しているとの点は否認する。
  その余の新聞の流通経路の主張についても,原告準備書面・の関係記述に反するものはすべて否認する。
被告4(関西地区新聞即売株式会社)の準備書面5について
  被告関西地区新聞即売株式会社が,発行本社から卸売を受け,空港島内の航空会社等に直接販売しているとの点は否認する。
  その余の新聞の流通経路の主張についても,原告準備書面・の関係記述に反するものはすべて否認する。
被告6(株式会社近販)の準備書面・について
  被告株式会社近販が,空港島において,発行本社から卸売を受けた新聞を,直接,空港島内の航空会社などに販売しているとの点は否認する。
  その余の新聞の流通経路の主張についても,原告準備書面・の関係記述に反するものはすべて否認する。
被告7(日経大阪即売株式会社)の第2準備書面について
  空港島において,被告日経販売が,発行本社から仕入れた日経新聞を,航空会社等に直接に販売しているとの点,被告関空販売に対し,配送・代金回収業務を業務委託しているとの点は否認する。
  その余の被告の販売ルート等の主張についても,原告の準備書面・の関係記述に反するものはすべて否認する。
第 2  決算書(甲第13号証)に対する被告卸売5社の主張の経済的不合理性について

 平成8年から,被告卸売5社が被告関空販社に対し,代金回収につき業務委託をしているというのであれば,新聞売上高は少なくとも新聞仕入高相当額でなければならない。ところが,上記決算書では,新聞売上高が,いずれも新聞仕入高を相当額上回っている。たとえば,新聞売上高・208,355,602円に対し,新聞仕入高・186,613,300円が計上されている。マージンは21,742,302円,利益率は10.44%である。

  被告卸売5社の主張によれば,「新聞売上げの実体は,被告卸売5社が航空機等に直接販売しており,被告関空販社の決算書に,新聞売上高及び新聞仕入高が計上されているのは形式的なものである。よって,被告関空販社の実質的な売上げは,被告卸売5社より受け取る配送料及び集金業務料だ」とのことである。つまり,上記のマージン21,742,302円が,配送料及び集金業務委託料ということになる。

  被告卸売5社の主張どおりとするならば,被告卸売5社は,新聞各社より定価の70%で仕入れ,定価の80〜82%で航空機等へ販売し,差額10〜12%を粗利として,会社運営の資金源及び利益としていることになる。

 しかし,被告関空販社へ支払っているとする配送料及び集金業務委託料は,上記のとおり21,742,302円,利益率約10.44%となり,被告卸売5社は,自ら新聞を販売して得た利益のほぼ全てを,被告関空販社へ支払っていることになる。

  粗利のほぼ全てを支払ってしまっては,粗利額から支払うべき人件費や諸経費等の販売管理費が賄えないことになる。

  このようなことは,通常の会社運営では考えられないことであり,被告卸売5社の主張には経済的合理性が認められない。

  上記を鑑みれば,被告関空販社が新聞販売を行っていることは明白である。
第 3  原告の被った「著しい損害」について

  「著しい損害」の主要な発生要因
  被告卸売5社及び被告関空販社より受け続けている「著しい損害」の主なる発生要因は以下の2つである。
<発生要因その1>

  被告卸売5社が原告に対して新聞の卸しを拒絶するため,原告は,なんばミヤタ株式会社の好意により新聞を仕入れているが,その仕入値は,被告卸売5社から直接仕入れるよりも5%割高となっている。

  現状は,上記のような取引形態になっていることから,原告は新聞仕入れにつき,一般新聞仕入定価@130円×5%(75%−70%)の損害(実害)を受けている。
<発生要因その2>

  被告卸売5社が原告に対し取引拒絶を行っている間,被告関空販社は独占的にシェアを伸ばし,被告卸売5社が原告に対し取引拒絶をしなければ原告が得られたシェアを取り込んでしまっている。原告においては,当初より被告卸売5社が取引拒絶せず,原告に新聞を卸していれば,関空島における原告のシェアは50%と考えるところである。

  上記のように,被告卸売5社が原告に新聞の卸しを拒絶している間に,被告関空販社は,関空島においてシェアを独占してしまっている。

 原告の逸失部数(利益)は,即売について年間115,200部,搭載紙については年間1,620,000部,合計1,735,200部である。

  損害の額等

  <発生要因その1>を起因とした,現実に発生している損害

  前述のとおり,現状,原告はなんばミヤタ株式会社の好意により新聞を仕入れ販売しているが,上記・<発生要因その1>のとおり,被告卸売5社の取引拒絶により,本来得られるべき,マージン5%を受けることができない状況であり,その損害額は以下のとおりである。
利益率及び雑貨売上の額をもとに算定している。

  <発生要因その2>を起因とした,原告の逸失利益
 前述のとおり,被告卸売5社が原告に対し取引拒絶をしている間に,被告関空販社は独占的にシェアを確保し,原告の得べかりしシェアを取り込んでいる。
  被告卸売5社が原告に対し取引拒絶をしていなければ得られたであろう逸失利益は,年間22,791,600円となる。
 平成6年9月から平成15年3月期までの累積逸失利益は実に218,419,500円になる。
  算定根拠は,以下のとおりである。
〔算定数値等〕

  定価(一般紙):@130円

  被告卸売5社よりの仕入値:91円(130円×70%)

 原告の販売価格:104円(定価の80%)

  原告が1部販売することによる利益:13円(104円−91円)

  原告の年間逸失部数:1,753,200部(前述1・のとおり)

  原告の逸失利益:22,791,600円(13円× 1,753,200部)

  累積逸失利益:218,419,500円
    (22,791,600円÷12ヶ月×115ヶ月(H6年9月〜H15年3月))

  その他の損害

 仕入拒否されている地元泉州版の駅売店での仕入入手に係わる損害

17,968,000円(平成6年より現在まで)

  事務諸経費の損害

33,600,000円(平成6年〜平成9年)

  損害賠償請求額
  原告の損害賠償請求額は,原告APS社が当初から被告卸売5社より取引拒絶されていなければ得られたであろう逸失利益の累積であり,その総額は以下のとおり金269,987,500円となる。
  被告関空販社によるシェアの取込み分 218,419,500円(上記2・)
  泉州版仕入入手に係る損害         17,968,000円(上記3・)
  事務諸経費の損害              33,600,000円(上記3・)
     合  計                  269,987,500円