平成14年(ワ)第11188号、平成15年(ワ)第6629号
独禁法違反行為に対する差止め請求事件
原  告    エアポートプレスサービス株式会社
被  告    日経大阪即売株式会社ほか

第 3 準 備 書 面

平成16年1月20日

大阪地方裁判所 第4民事部合議A係  御 中

被告日経大阪即売株式会社訴訟代理人

弁 護 士       米   田   秀   実      

同          高   島   志   郎      

同          小 坂 田    成   宏      

第 1  原告準備書面(7)及び甲第24号証の被告日経即売に関する主張事実に対する反論

  事実無根の主張がなされていること
  図1において、被告日経即売の概算売上高が「推定90億円」と主張されているが、実際の売上高は5.6億円である。
  また、図3において、あたかも全国紙発行本社5社と被告即売会社5社との間に「販売局次長会」なる組織が存在するかのごとき系統図が記載されているが、「販売局次長会」なる組織など存在しない。
 さらに、図3−2において、平成14年10月当時の被告日経即売の役員が記載されているが、そのうち荒屋孝年、船瀬秀人及び進藤孝雄は平成14年10月当時被告日経即売の取締役ではない。
 そして、図1ないし3及び図8ないし11において、被告関空販社が即売会社として位置付けられているが、従前から繰り返し主張しているとおり、本件訴訟で問題となっている全国紙に関して言えば、被告関空販社は販売業務は一切行っておらず、配送及び集金の業務委託を受けているだけであり、卸売会社ではない。
  以上のとおり、甲第24号証において、原告は憶測に基づく主張や事実に基づかない主張を行っており、かかる書証の証拠価値は無いと言わざるを得ない。

 図4及び5について
  まず、日本経済新聞全国紙の航空会社への流通経路は、「日本経済新聞社→被告日経即売→航空会社」というものであり、図4の流通経路図は不正解である。
  また、航空会社に対する販売に関して言えば、被告日経即売即売は小売業者に位置付けられ、これを即売業者と主張している点も誤りである。
 次に、図5において二次卸の即売業者17社が記載されているが、被告日経即売はこれら17社全てと取引しているのではなく、且Y弘舎新聞舗、巨剋R新聞舗、虚ス野新聞舗及び椛コ浜新聞舗とは取引が無い。

  首都圏の流通経路(図6及び7)について
(1)   原告は、首都圏において即売会社がなく、即売業者4社は発行本社と資本的・人的つながりがほとんどない独立系であると主張し、図6及び7の流通経路図を示しているが、これらの主張も正確ではない。
  まず、首都圏においても即売会社は存在し、図6及び7の即売業者4社がそれにあたる。鞄兼s春陽堂は毎日新聞を中心とした全国紙の卸売りを、鰍スきやまは朝日新聞を中心とした全国紙の卸売りを、褐[徳者は読売新聞を中心とした全国紙の卸売りを、鞄結梠ヲ売は産経新聞を中心とした全国紙の卸売りをしている。そして日本経済新聞社は鞄剣拍t陽堂を主としつつ、これら4社と取引をしている。
  次に、即売業者4社と発行本社との資本的・人的つながりについて言えば、鞄剣拍t陽堂の株式は毎日新聞社及びその子会社であるスポーツニッポン並びに日本経済新聞社で保有しており、その役員もこれらの発行本社から選出されている。また、鞄結梠ヲ売の役員には産経新聞社及び朝日新聞社から人員が派遣されている。
(2)  そして、首都圏の流通経路に関して最も重要な点は、成田国際空港に発着する航空会社に対する流通経路においては、卸売業者4社と航空会社との間に成田空港国際サービス鰍ニいう会社が介在することである。
 成田国際空港サービス鰍ヘ卸売業者4社が共同出資して設立した会社であり、全国紙各紙及びその他スポーツ新聞等の販売を行っている。その設立目的は業務の合理化、コスト削減及び顧客の利便性確保等にあり、被告関空販社は成田国際空港サービス鰍モデルにして設立されたという経緯がある。
  なお、成田国際空港サービス鰍ヘ、被告関空販社が行っていない全国紙の販売業務も行っているが、設立以来、公正取引委員会の他いかなる機関からも独禁法上の問題点を指摘されたことはない。
(3)  原告は、京阪神地区のみ特殊な流通経路が形成されている旨主張するが首都圏においても多少の差異はあるものの、京阪神地区類似の流通経路が形成されており、何ら特設の障害もなく円滑に流通されている。このことからも原告の主張が独自の見解に基づく理由がないものであることが明らかである。

  関空等に関する日経新聞の流通経路(図8及び9)について
  まず、航空会社に対する販売(図8)については、被告日経即売が直接行っており、被告関空販社は配送及び集金業務のみ行っている。
  次に売店・ラウンジに対する販売(図9)についても、航空会社に対する販売と同様である。
  そして、JR西日本・キオスクに対する販売(図9)については被告日経即売は関与せず、日本経済新聞社本社から被告近販を経由して流通している。この点、図9では日本経済新聞社本社から被告新販へ矢印が施されているが、関空島のキオスクに関して言えば被告近販以外の即売会社は関与していない。

  関空島に関する新聞流通の原告及び被告らの占める位置(図10および11)について
(1)  そもそも原告は全国紙とその他スポーツ新聞等をあわせた部数を主張しており、かかる原告の主張は妥当でない。原告自らが選定し、本件訴訟の対象となっているのは全国紙の取引であるから、その他スポーツ紙等と混同して主張するのは失当である。
  また、関空島における全国紙の販売部数のシェアを比較するにあたっては、被告関空販社は全国紙の販売業務を行っていない以上その対象とはならず、原告と被告即売会社5社の販売部数のシェアを比較しなければならない。
  したがって、図11に示されている新聞販売シェア(原告が8.78%、被告関空販社が91.22%)は、その基礎とする販売部数及びその比較対象において的を射たものではなく、かかる数字は何らの意味も有しない。
  なお、関空島における平成15年12月度の被告日経即売の全国紙(本紙朝夕刊)の販売部数は47,579部である。
第 2  甲第13号証「決算書」の数字について
  原告が新聞販売のマージンと主張する金額(21,742,302円)は、被告即売会社5社が被告関空販社に委託している配送及び集金業務の業務委託料であり、甲第13号証は被告関空販社が全国紙の販売業務を行っていることの証拠とはなりえない。なお、甲第13号証「決算書」の記載に関する被告関空販社の主張(被告関空販社準備書面(2))を援用することは以前(被告日経即売第1準備書面)に述べたとおりである。
  原告は、かかる被告関空販社の主張に対する反論をすることなく、従前の表面的な主張を繰り返すのみであり、失当である。
第 3  鰍ネんばミヤタからの仕入れが可能であること
  原告自ら認めているとおり、原告は現在も鰍ネんばミヤタから全国紙各紙を仕入れることができており、関空島における新聞販売の公正競争性は阻害されていない。
第 4  被告関空販社設立の経緯
 平成5年10月、被告即売会社5社は共同出資して被告関空販社を設立したが、その設立経緯は原告が主張する「共同取引拒絶」を目的としたものではなく、以下の事情によるものである。
 すなわち、@航空会社から、各即売会社から各々新聞を納入されるのでは現場に混乱が生じて大変であるから納入窓口を一本化して欲しいとの要望があったこと、また、A関空島への新聞納入には連絡橋を通行しなければならないため高い渡橋料がかかり、新聞仕分けをする作業所の設置費、維持費、人件費等の他の経費も大きくかかるため、物流コストを合理化する必要があったことから、被告即売会社5社が共同出資して被告関空販社が設立されたのである。
  そして、設立当初の定款上は被告関空販社も全国紙の販売活動を行いうるものであったが、実際は各被告即売会社が航空会社等に営業活動を行っており、当時から被告関空販社は配送及び集金業務をその業務としていたのである。これは上記@Aの設立経緯によるものである。
第 5  平成8年の公正取引委員会の指導
  公正取引委員会は、平成8年12月25日、原告からの独禁法違反の申立に対し、「独禁法違反の未然防止を図る観点から関係人に注意」するという行政指導を行っているが(甲5)、かかる「注意」は、独禁法上の処分ではなく、いわゆる行政指導に過ぎない。そして、かかる通知書からは、平成8年当時、公正取引委員会が関空島における新聞販売に独禁法上の問題はないと判断したことが認められるのである。
  したがって、本件訴訟において原告が平成6年ないし8年の公正取引委員会による調査がなされた事実を摘示して何らかの独禁法上の問題があるかのごとき主張をするのは全くもって失当である。

以上