平成14年(ワ)第11188号 独占禁止法違反行為に対する差止め請求事件

直送済

原  告    エアポートプレスサービス株式会社
被  告    株式会社大読社 外5名

準 備 書 面 6

平成16年1月19日

大阪地方裁判所 第4民事部合議A係  御 中

                      被告株式会社大読社訴訟代理人

                            弁 護 士      寺   上   泰   照

                              同         岩   下   圭   一 

                              同         佐   藤   水   暁


第1 原稿準備書面(7)に対する認否・反論
  1 原告準備書面(7)、第1、1について
  (1) (1)について
  (2) (2)について
  (3) (3)について
  (4) (4)について
  2 原告準備書面(7)、第1、2について
  (1) (a)について
  (2) (b)について
  (3) (c)について
  (4) (d)について
  3 原告準備書面(7)、第2について
  4 原告準備書面(7)、第3について
第2 京阪神地区における卸売り業者のシェアについて
第3 公正取引委員会の注意処分について


 被告大読社は、原告より提出された平成15年12月2日付け準備書面(7)(以下「原告準備書面(7)」という。)における主張内容及び同書面において引用されている甲第24号証の記載内容に対し、以下のとおり認否・反論する(なお、本書面において用いる固有名詞等の略称は、特段の断りがない限り、被告大読社の答弁書及び従前の準備書面と同様である。)。
第 1  原告準備書面(7)に対する認否・反論

  原告準備書面(7)、第1、1について
(1) (1)について
  同項記載の事実のうち、読売新聞等の即売に関し、被告大読社と読売新聞大阪本社が密接な関係を有していることについては認めるが、相被告に関する事実を含めたその余については不知ないし否認する。
  告は、即売会社と発行本社とが密接な関係にあることを公正競争阻害性の根拠として主張しているようであるが、新聞等の即売業務の性質上、日々発生する細かく膨大な作業やクレーム等をスムーズかつ迅速に処理するためには、即売会社と発行本社との間で密接な関係を保つことが必要不可欠であり、即売会社と発行本社とが密接な関係にあることをもって直ちに公正競争阻害性を導く原告の主張は、[現実を無視した暴論である。
 事実関係についても、同項で引用されている甲第24号証の図1では、被告大読社の売上高が「推定90億円」と記載されているが、被告大読社の売上高は年間約15億円であるから、原告の主張は、客観的事実と極端に乖離した誤った主張である。
  また、第24号証の図1では、スポーツ紙「報知新聞」についても、全て被告大読社を通じて流通しているかのような記載になっているが、報知新聞の約半分は、被告大読社を経由することなく報知新聞社から直接即売業者等に販売されている。
 さらに、同項で引用されている甲第24号証の図3には、被告卸売5社の上に「販売局次長会」という組織が位置付けられているが、そもそも、被告大読社の知る限り、「販売局次長会」なる組織は存在しないし、原告が甲第23号証で主張している発行本社5社の「部長会」、「次長会」等のあらゆる意味において、被告大読社の上に位置付けられるような組織は存在しなし。
  なお、甲第24号証の図3では、被告大読社が読売新聞大阪本社の100%子会社であるかのような誤解を与える記載になっているが、客観的事実として、読売新聞大阪本社が所有する被告大読社の株式の割合は、25%に過ぎない。
(2) (2)にていて
  同項記載の事実については、不知ないし否認する。
  前項において既に述べたとおり、即売会社と発行本社とが密接な関係にあることをもって直ちに公正競争阻害性を導く原告の主張は、現実を無視した暴論である。
(3) (3)について
  同項記載の事実及び主張は、いずれも否認ないし争う。
  「空港島における新聞市場では、卸売5社によって新規参入は全く排除されているから、一定の取引分野における競走の実質的制限にあたるものである。」という原告の主張は、被告卸売5社の行為が一定の取引分野における競走を実質的に制限することによって「私的独占」に該当することを主張していると考えざるを得ないが、独占禁止法24条に基づく差止請求権の対象行為は、「第八条一項第五号又は第一九条の規定に違反する行為」と規定され、「不公正な取引方法」に係わるものに限定されているのであって、独占禁止法24条に基づく差止請求訴訟である本件訴訟において、「私的独占」の主張を行うことは全く無意味であるから、そもそも、このような原告の主張は主張自体失当である。
(4) (4)について
  同項記載の事実及び主張は、いずれも否認ないし争う。
 同項における原告の主張内容をみる限り、前記(3)の項におけるのと同様、原告は、「私的独占」を主張していると考えざるを得ないが、請求原因事実として「不公正な取引方法」を規定している独占禁止法24条に基づく本件訴訟において、[私的独占]に主張を行うことは全く無意味であるから、そもそも、このような原告の主張は主張自体失当である。

 原告準備書面(7)、第1,2について
(1) (a)について
  同項記載の事実のうち、関西(京阪神地区)における新聞等の「即売」の流通経路として、読売新聞大阪本社から同社と人的・資本的関係のある被告大読社を経由していることについては認めるが、その余は不知ないし否認する。
  東京(首都圏)における即売会社4社も、関西(京阪神地区)と同様、発行本社と人的・資本的つながりを有しており、被告卸売5社が京阪神のみに存在する全国的な例のない特殊な存在ということはない。具体的には、株式会社東都春陽堂の株主が、毎日新聞社、スポーツニッポン新聞社及び日本経済新聞社であるほか、株式会社たきやまは、朝日新聞社及び日刊スポーツ新聞社が、株式会社東京即売は、産経新聞社、中日新聞社及び朝日新聞社がそれぞれ株主となっており、東京(首都圏)における即売会社4社それぞれ、元読売新聞社販売局開発部次長、元毎日新聞社常務取締役販売局長、産経新聞社常務取締役、元日本経済新聞社販売管理部次長等が就任している。
  ちなみに、新東京国際空港(成田空港)における旅客機搭載用の新聞等の取扱に関しては、東京(首都圏)の即売会社4社が500万円ずつ出資して設立した成田国際空港サービス株式会社(NSK)が行っている。なお、成田国際空港サービス株式会社(NSK)の5名の取締役のうち4名は、東京(首都圏)の即売会社4社の代表取締役であり、現在の代表取締役は、株式会社啓徳社の代表取締役である田中俊司氏である。
(2) (b)について
  同項記載の事実のうち、原告APS社が訴外株式会社なんばミヤタから新聞等の供給を受けて販売していることは認めるが、関空島において被告関空販社が被告卸売5社から新聞等の供給を受けて航空機や売店に販売していることは否認する。
  既に繰り返し主張し、書証(乙ウ第3号証の1ないし乙ウ第4号証の14)も提出しているとおり、被告大読社は、被告関空販社に対し、空港島における読売新聞の配送及び集金業務だけを委託しているのであって、空港島における新聞等の営業販売は被告大読社自らが行っているのであるから、被告関空販社が空港島において旅客機搭載用の新聞等の販売を行っている事実は存在しない。
(3) (c)について
  同項記載の@ないしBの事実については、不知ないし否認する。
  原告は、「空港島における被告ら及び原告の新聞の仕入れ及び卸売りの標準的なマージン率については、搭載紙について甲第24号証図10、即売紙について同図11参照。」と主張しているが、そもそも、即売会社の二次即売業者又は顧客に対する取引条件は、一律のものではなく、取引の規模や相手との関係、さらには商品の種類等によって異なるのであり、一般論として概括的に論ずることのできる性質のものではない。
  被告大読社の訴外株式会社なんばミヤタに対する具体的な取引条件についても、被告大読社は、訴外株式会社なんばミヤタに対し、読売新聞を定価(100円)の70%(91円)で卸しているから、「原告APS社は、被告卸売5社から取引を拒絶されているため、株式会社なんばミヤタが定価の75%で仕入れたものをまわしてもらって、定価の80〜82%で販売するが、利益率は、なんばミヤタと併せても5〜7%である。」という原告の主張は、少なくとも被告大読社との関係に関する限り、明らかな虚偽である(乙ウ第5号証の1、2)。すなわち、原告が定価の80〜82%で旅客機搭載用の新聞等を販売しているとすれば、現実には、原告の利益率は、読売新聞に関する限り、訴外株式会社なんばミヤタと併せて10〜12%ということになる。
  そして、繰り返し主張しているとおり、そもそも被告関空販社が空港島において旅客機搭載用の新聞等の販売を行っている事実は存在しないから、被告関空販社が被告卸売5社から定価の75%で仕入れ、80〜82%で販売することはあり得ない。
  また、被告大読社と訴外株式会社なんばミヤタとの関係は、空港島の開港以来、今日に至るまで極めて良好であり、何のトラブルもないのであって、少なくとも被告大読社に関する限り、「卸売5社からのこのなんばミヤタへの供給停止への圧力はすさまじい」という原告の主張は、全く事実無根である。
(4) (b)について
 同項記載の事実については、否認する。
  空港島において新聞販売を行っている業者が現時点で原告と被告卸売5社しかいないのは、空港島における新聞販売が競走の実質的制限により新規参入ができない排他的な市場であるからではなく、空港島における新聞販売という事業の特殊性(運搬費用として最低1日2往復分の高額な空港島への連絡橋への渡橋料を負担しなければならないことや潜在的な需要も含めた絶対的な取引量に限界があるため新規顧客開拓の余地が少ないこと等)から、その採算性を考えて、敢えて参入していないだけのことに過ぎない。

  原告準備書面(7)、第2について
  同項1ないし3記載の事実は、いずれも不知ないし否認する。
  既に述べたとおり、被告大読社は、訴外株式会社なんばミヤタに対し、読売新聞を定価の70%で卸しているので、「現在のなんばミヤタからの仕入れルートでは、利益率が、なんばミヤタと原告APS社とを併せて5〜7%である。」という原告の主張は、明らかな虚偽である(乙ウ第5号証の1、2)。
 したがって、仮に原告の主張するとおり、原告が被告卸売5社から直接定価の75%で新聞等を仕入れたとしても、訴外株式会社なんばミヤタから仕入れた方が安く新聞等を仕入れることができるということも十分にあり得るのであって、「原告の仕入先が、被告関空販社や他の二次卸業者からの仕入れであれば、一次卸売業者である被告卸売5社からの仕入れより割高になる。」という原告の主張は、明らかに事実に反するものであって、全く理由がない。

  原告準備書面(7)、第3について
  同項1ないし3記載の事実及び主張は、いずれも否認ないし争う。
  被告関空販社の損益計算書(甲第13号証)の記載については、裁判所からの求めに応じて、既に、被告大読社の平成15年8月25日付け準備書面3において釈明したところであり、被告オ関空販社の平成15年8月25日付け準備書面(2)においても詳細に釈明されているとおりであるから、同項における原告の主張は、何ら立証を伴わない単なる従前からの一方的な主張の繰り返しに過ぎない。
  すなわち、被告関空販社の決算書において「新聞売上高」と「新聞仕入高」という勘定科目で計上されている理由は、取引先各社から被告関空販社名義で一括して行ってもらいたいという強い要望があったことに加え、被告関空販社及び被告大読社としても、経理上の事務処理を変更することによって人的及びコスト的に過大な負担が見込まれたところ、その実施余力に乏しい実情にあったからに他ならない。
  なお、現在は、平成14年1月から新システムが導入されたこと等により、決算書上も「受託料収入」という勘定科目として、現実に被告関空販社が行っている業務の実態に沿った正確な記載がなされているのであるから(乙ア第1号証の1,2)、平成11年度の決算報告書(甲第13号証)をもって「上記決算書は、被告関空販社が全国紙の販売を続行していることの証左である。」という原告の主張は、明らかに失当である。
第 2  京阪神地区における卸売業者のシェアについて
  読売新聞大阪本社から即売ルートで流通する読売新聞について見れば、そのほとんどが被告大読社を経由して流通しているが、関西(京阪神地区)の全国紙5紙の即売市場に置ける被告大読社の販売部数のシェアは、約7%である(シェアは、社団法人日本ABC協会により認定されている全国紙5紙の平成15年10月の1日あたりの即売部数をもとに計算したものである。)。
 ちなみに、空港島における平成15年12月の被告大読社の読売新聞(朝夕刊)の延べ販売部数は、39,798部である。
第 3  公正取引委員会の注意処分について
  被告大読社の答弁書でも既に述べたとおり、公正取引委員会の行う「注意」は、独占禁止法の規定に基づいた正式な「行政処分」ではなく、行政庁である公正取引委員会が一方的に行う非公式の「行政指導」に過ぎないのであって、それ自体何ら独占禁止法違反行為の存在を証明し得るものではない。行政庁である公正取引委員会が一方的に行う非公式の「行政指導」には、「注意」の他に「警告」があるが、「警告」は、勧告等の法的措置を採るに足る証拠が得られなかった違反の疑いがあるときに関係事業者に対して是正措置を採るよう指導が行われるものであって、「注意」は、「警告」をするに足る違反行為の疑いさえ認められない場合、すなわち、違反行為の存在を疑うに足る証拠が得られないが、違反につながるおそれのある行為がみられた場合に未然防止を図る観点から念のため独占禁止法違反に関して関係事業者に注意喚起しておくに過ぎないのである。
 現に、原告に対して公正取引委員会から送られてきた平成8年12月25日付け通知書(甲第5号証)においても、「独占禁止法違反につながるおそれのある行為がみられましたので、独占禁止法違反の未然防止を図る観点から関係人に注意しました。」(太字ゴシック下線は、被告大読社による。)と記載されているのであって、独占禁止法違反行為の存在が認められなかったことを前提としている。
  したがって、平成8年におこなわれた公正取引委員会による「注意」は、何ら原告が本件訴訟の請求原因事実として主張している被告らの共同取引拒絶行為の存在を証明、推認し得るものではない。

以   上