答  弁  書   (株式会社大読社)


第1  請求の趣旨に対する答弁
第2  請求の原因に対する認否
第3  被告の主張



平成14年(ワ)第11188号 独禁法違反行為に対する差止請求事件
原  告  エアーポートプレスサービス株式会社
被  告  株式会社大読社 外5名

答  弁  書

平成14年12月6日


大阪地方裁判所第4民事部合議A係 御中

                 〒100−0014 東京都千代田区永田町2丁目14番2号
                            山王グランドビル310区
                            小林・藤堂法律特許事務所(送達場所)
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                            FAX  03−3580−0789
                     被告株式会社大読社訴訟代理人
                                弁 護 士     藤   堂        裕
                                   同        寺   上   泰   照
                                   同        岩   下   圭   一
                                   同        佐   藤   水   暁
                                   同        生 天 目   麻 紀 子

第 1  請求の趣旨に対する答弁

原告の被告株式会社大読社(以下「被告大読社」という。)に対する請求を棄却する

訴訟費用は原告の負担とする
との判決を求める。
第 2  請求の原因に対する答弁

請求の原因T「本訴の概要」の項について
同項の記載のうち、事実主張については否認し、法的主張については争う。

請求の原因U「当事者」の項について
(1)  同項1記載の事実については不知。

(2)
 同項2(1)記載の事実のうち、全国紙である朝日新聞・読売新聞・産経新聞・日本経済新聞・毎日新聞(以下「全国紙5紙」という。)の大手卸売業者5社(以下「被告卸売5社」という。)が平成5年に共同出資により被告関西空港新聞販売株式会社(以下「被告関空販社」という。)を設立したことは認めるが、現時点において被告関空販社は関西国際空港島(以下「空港島」という。)における新聞の販売活動を行っていないから、その余の事実については否認する。

(3)
 同項2(2)記載の事実のうち、被告大読社が読売新聞大阪本社の系列の大手卸売業者であり、読売新聞等の卸売を取り扱っていることは認めるが、関西地区におけるシェアを含めたその余の事実については不知。

請求の原因V「被告関空販社の設立による原告業務の不当侵害」の項について
(1)   同項1記載のうち、被告卸売5社が平成5年に共同出資して被告関空販社を設立したことは認めるが、被告卸売5社が空港島における全国紙5紙の卸売について被告関空販社を通してしか取引しないものとした事は否認する。
  被告大読社としては、被告関空販社が設立された当初、空港時までの新聞卸売について被告関空販社を窓口としていたことは事実であるが、空港島の開港当時から今日に至るまで、原告は、被告卸売5社及び被告関空販社以外の第三者から仕入れた全国紙5紙を空港島において全日本空輸株式会社国際線等の複数のユーザーに販売しているのである。
  当該被告卸売5社の行為が私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という。)2条9項1号の不当に他の業者を差別的に取り扱う不公正な取引方法(共同取引拒絶)に該当するとの法的主張については争う。)
  原告エアーポートプレスサービス株式会社が平成2年の創業以来空港島における全国紙5紙の販売につき卸入れのルートを確保して少しずつ実績を伸ばしてきたことは不知。
(2)  同項2記載の事実および法的主張については、独占禁止法24条に基づく差止請求訴訟である本訴請求の請求原因の事実としての意味が不明確であるが、念のために認否をすれば、その内容は、何ら根拠のない原告の一方的な見解を述べたものに過ぎないから否認ないし争う。

請求の原因W「被告らによる公取委の欺罔と定款違反の敢行」の項について
(1)   同項1記載の事実については不知。
(2)  同項2記載の事実のうち、被告関空販社が平成8年6月10日開催の臨時取締役会で定款変更の決議をし、同年6月25日開催の第3回定時株主総会において定款を変更したこと及び被告卸売5社が被告関空販社の定款変更を平成8年10月30日付の文書で公正取引委員会へ報告したことは認めるが、その余の事実については否認する。
 被告関空販社の定款変更の内容は、甲第1号証の1、2及び甲第4号証に記載のとおりであり、被告関空販社の定款に「被告関空販社には新聞の販売会社としての機能は持たせない」又は「全国紙5紙については仕訳・包装・配送・代金回収業務の受託業務を行うにとどめる」という文言が明記されているわけではない。
(3)   同項3記載の事実のうち、公正取引委員会が関係人に対して注意を行ったことは認めるが、公正取引委員会の注意は独占禁止法45条3項に基づくものではないので、公取委が行った注意が独占禁止法45条3項に基づくものであるとの点は否認し、その余の事実については不知。
  なお、公正取引委員会の行う「注意」は、あくまで行政指導であって行政処分ではない。
(4)   同項4記載の事実については、何ら根拠のない原告の一方的な想像を述べたものに過ぎないので否認する。
  被告関空販社は、現在、空港島における全国紙5紙の販売活動を一切行っておらず、空港島における読売新聞の販売活動は、被告大読社自らが行っている。

請求の原因X「原告会社の苦悩と損害」の項について
  同項記載の事実のうち、原告が全国紙5紙の卸入れの途を実質上断たれて甚大な損害を被っていることについては、上記3、(1)(3頁)記載の理由により否認する。
  また、前項で述べた理由により、被告らの公取委の指導受け入れが全くの虚偽であること及び被告らが現在の定款違反であることを承知で新聞の不公正な取引方法を横行させていることは否認する。
  その余の事実については不知。

請求の原因Y「独禁法24条の民事的救済制度による本訴の提起」の項について
同項については争う。
第 3  被告の主張

差止命令の内容の不当性について
  原告は、被告関空販社の空港島の売店に対する全国紙5紙の販売及び空港島における航空会社に対する旅客機搭載用の新聞の販売の各中止並びに被告5社の被告関空販社への卸売の中止を求めて本件訴訟を提起している。
  しかし、被告関空販社の空港島の売店に対する全国紙5紙の販売及び空港島における航空会社に対する旅客機搭載用の新聞の販売並びに被告5社の被告関空販社への卸売は、いずれも何ら不公正な取引方法に該当する独占禁止法違反行為(独占禁止法19条)ではないのであるから、これらの行為の差止めを求める原告の本訴請求は、明らかに失当である。
  すなわち、原告は、「卸売5社が共同して原告APS社ら被告関空販社以外には全国紙5紙を取引しないことであり、独禁法2条9項1号の不当に他の業者を差別的に取り扱う不公正な取引方法(共同取引拒絶)に該当する。」、「その商品である全国紙5紙の卸入れの途を実質上断たれた所期の業務の遂行展開は被告らの独禁法違反行為により封止されるという甚大な被害を被っている。」等の主張からも明らかなとおり、被告らの共同取引拒絶を根拠として本件訴訟を提起していると推測されるにもかかわらず、上記主張に係る卸入れの途を断つこととなる侵害行為である被告らの共同取引拒絶自体の停止を求めることなく、原告の主張する共同取引拒絶とは何ら関係のない被告関空販社の空港島の売店に対する全国紙5紙の販売及び空港時における航空会社に対する旅客機搭載用の新聞の販売並びに被告5社の被告関空販社への卸売の各中止を求めているのであるから、その主張自体において、およそ理由がないことは明白である。
それどころか、原告が本件訴訟で被告らに求めている内容(請求の趣旨)は、いわば空港島における全国紙5誌の販売を原告に独占させることを求めるに等しいものであった、およそ被告らの共同取引拒絶による「侵害の停止」を求めるものでないことは、客観的な請求の趣旨の記載から明白である。
  したがって、原告の求める請求の趣旨は、独占禁止法24条に基づく禁止請求の趣旨を明らかに逸脱するものであり、主張自体失当であることが明白であるから、請求原因事実の存否についての審理を行うまでもなく直ちに棄却されるべきである。

「不公正な取引方法」の不存在について
  前記のとおり、原告は、独占禁止法24条に基づく差止請求件の要件事実である独占禁止法「第十九条の規定に違反する行為」について、極めて抽象的ではあるものの、共同取引拒絶(昭和57年6月18日公正取引委員会告示第15号「不公正な取引方法」、いわゆる一般指定第1項)を主張しているものと思われる。
  しかしながら、そもそも、被告大読社は、平成6年1月29日以降、現在に至る約9年近くの間、原告から1度も新聞卸売取引の申込・要請等を一切受けたことがない。
  原告が、具体的に被告らの如何なる行為を据えて共同取引拒絶であると主張しているのかは全く不明であるが、被告大読社においては、原告からの取引の申込がない以上、取引を拒絶するなどということはおよそあり得ない。
  したがって、原告の本訴請求に理由がないことは明らかであることから、速やかに棄却されるべきである。
  ちなみに、訴状の請求原因における記載では、そもそも共同取引拒絶の具体的内容が全く明らかでなく、独占禁止法24条に基づく差止請求権の要件事実としての違反行為の主張を欠くものであって、主張自体失当と言わざるを得ないものであるから、本訴請求の請求原因として主張する違反行為の具体的内容について、これ以上に特定されることがないのであれば、原告の本訴請求は、速やかに却下又は棄却されるべきである。

「著しい損害」の不存在について
  独占禁止法24条は、「これにより著しい損害を生じ、または生ずるおそれがあるとき」と規定し、差止請求権の要件事実として、「著しい損害」が必要であることを明らかにしている(なお、当該要件については、単なる「損害」ではなく、「著しい損害」として文言上も過重して規定している点にも留意する必要がある。)。
  この「著しい損害」の要件について、原告は、訴状における請求原因の記載によると、「その商品である全国紙5紙の卸入れの途を実質上断たれ所期の業務の遂行展開は被告らの独禁法違反行為により封止されるという甚大な被害を被っている。」と主張している。
  しかしながら、原告は、現在も訴外株式会社なんばミヤタ等から全国紙5紙の卸入れを受けて空港島での小売用や航空機搭載用の新聞等の販売活動を行っており、原告が全国紙5紙の卸入れを受ける取引先が現在も確保されていることは明らかである。原告が現在も空港島における小売用や航空機搭載用の新聞等の販売活動を支障なく遂行していることについては、原告自らが訴状において「現在なお引き続いて空港島の小売用や航空機搭載用の新聞等の販売活動の維持・継続に経営努力を傾けている。」と主張している事からも窺えるところであって、少なくとも、現時点において、原告が全国紙5紙の卸入れの途が断たれて業務の遂行が封止されているという事実は存在しなし。
  したがって、本件においては、原告に「著しい損害」が生じていないことはもちろん、「著しい損害」が生ずるおそれがないことも明白であるから、原告の本訴請求には理由がなく、直ちに棄却されるべきである。

以 上