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「そごう百貨店大阪店」a
「日本人には、欧米のような近代建築、いや建築に対する本当に自負心があるのだろうか、この自負心の欠如が取りもなおさず、近代建築の保存に対する意識の低さにつながっているのではないのか」(・建築雑誌・97年1月号、「ひろがる保存の概念)。
次々に惜しげもなく取り壊されていく近代建築を目前にしながら、この文章を噛みしめている。
そごう百貨店に「お前ら何を考えているんだ」と叫びたい気持を抑えて、締切りが少し過ぎた原稿を夜中に必死で書いている。
今年は編集長に催促の電話をもらわぬようにと心に決めている。しかし、雑用に追いまくられペンが進まない。書きたい事は山ほどあるのに、なかなか書けない。十数年以上もよく書いていると感心し、褒めてくれる人もいるが、けなす人もいる。読んでくれている人など少なくないと思っていても、時々この欄がコピーされていたり、話題に出るのは嬉しい。昨年は数人から出版したらという声も頂いている。有難い話である。売れなくても資料としてまとめておく必要はあると友人は言ってくれるが、作る以上は売れる本にしたいと思う。
昨年のイオンド大学名誉博士号のノミネート(指名)の話、交詢社の・日本紳士録・(平成14年)に掲載、桃山学院大学のゲスト講師など良い事が続いているので、今年は、もう少し前進したいと思っている。
そごう百貨店大阪店についての嫌な情報も入っている。真偽のほどは分からないが、ある有名な外国人建築家が設計していて、大手の建設会社が施工する事になっていると聞いている。
経営不振になった会社が、そんな力があるのかという気はするが、分からない。
それにしても、市民や建築界の反応は少ない。
これだけの名建築は都市の遺産だから壊さない。それをするだけの自信のある建築家はいないだろうなどと言っている連中に腹が立っている。「現実はそんな甘くないぞ」と言ってやりたいが、こちらもどう対応してよいのか分からない。
大阪の都市景観美、モダンシティ大阪の生き証人で
近代建築史上重要な価値を持つ名建築の保存に全力
平成 年に、保存の要望書・意見書を提出したり、見学会をしただけで、その後のアクションは何もしていない。保存の要望書も、当研究会と日本建築学会が提出しただけである。もっと他の団体からも声を上げてもらう必要がある。
他の都市のそごう百貨店が、何らかの形で、活用されている。そんな中で、そごう百貨店のシンボルであり、日本の近代建築史上重要な価値を持つ名建築を建て替える事など絶対に許してはならないと思うのである。
そのために今年は、もう少し積極的に働きかけをしなければと思っている。
\有名建築家・建築史家による保存の要望書の提出]他の建築団体・文化団体からの保存要望書の提出^保存のためのシンポジウムの開催_地元住民たちの見学会などを働きかけていく予定である。
無駄な抵抗をするな、建築は社会的なものだから、所有者が捨てたものは仕方がないという意見もあるが、最後まで、保存へ向けて働きかけをしたいと思っている。ご支援・ご指導を頂ければ幸いである。
・写真・
各方面に提出した保全・活用に関する要望書
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