平成14年2月1日号


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「記者クラブ」基本方針日本新聞協会新見解

公権力行使の監視や公的機関に真の情報公開を追求し

記者会見参加者は一律に限定せずより開かれた存在へ


 日本新聞協会(新聞・通信・放送各社の編集・報道局長らで構成)は全国の記者クラブの基本指針となる見解を四年ぶりに改定し、一月二十三日発表した。以下はその全文

 日本新聞協会編集委員会は「記者クラブ」についての新たな見解をまとめました。インターネットの普及によるメディアの多様化や情報公開法の施行などで、報道を取り巻く環境は大きく変化しています。

 一方、記者クラブや記者会見のあり方については、様々な意見や批判もあります。新見解をまとめるに当たり、そうした声にも謙虚に耳を傾けました。私たちは、記者クラブの目的や役割について広く理解を得るとともに、この見解に沿って、より信頼される記者クラブを実現したいと考えています。

取材・報道のための組織

 記者クラブは、公的機関などを継続的に取材するジャーナリストたちによって構成される「取材・報道のための自主的な組織」です。

 日本の報道界は、情報開示に消極的な公的機関に対して、記者クラブという形で結集して公開を迫ってきた歴史があります。

 記者クラブは、言論・報道の自由を求め、日本の報道界が一世紀以上かけて培ってきた組織・制度なのです。国民の「知る権利」と密接にかかわる記者クラブの目的は、現代においても変わりはありません。

 ネット時代を迎え、種々の情報発信が可能になっています。公的機関の中には、ホームページで情報を直接発信しているケースもあります。

 しかし、情報が氾濫し、また情報の選定が公的機関側の一方的判断にゆだねられかねない時代であるからこそ、取材に裏付けられた確かな情報がますます求められていると言えます。そうした時代にあって、記者クラブは、公権力の行使を監視するとともに、公的機関に真の情報公開を求めていく重要な役割を担っています。

 記者クラブ制度には、公的機関などが保有する情報へのアクセスを容易にするという側面もあります。その結果、迅速・的確な報道が可能になり、さらにそれを手がかりに、より深い取材や報道を行うことができるのです。

 誘拐事件での報道協定など、人命や人権にかかわる取材・報道上の調整機能も、記者クラブの役割の一つです。市民からの情報発信に対しても、記者クラブは開かれています。

より開かれた存在に

 記者クラブは「開かれた存在」であるべきです。

 日本新聞協会には国内の新聞社・通信社・放送局の多くが加わっています。記者クラブは、こうした日本新聞協会加盟社とこれに準ずる報道機関から派遣された記者などで構成されます。外国報道機関の記者が加入するクラブは増えつつあります。

 記者クラブが「取材・報道のための自主的な組織」である以上、それを構成する者はまず、報道という公共的な目的を共有していなければなりません。記者クラブの運営に、一定の責任を負うことも求められます。

 そして最も重要なのは、報道倫理の厳守です。日本新聞協会は新聞倫理綱領で、報道の自由とそれに伴う重い責任や、正確で公正な報道、人権の尊重などを掲げています。

 これらは、基本的な報道倫理です。公的機関側に一致して情報公開を求めるなど取材・報道のための組織としての機能が十分発揮されるためにも、記者クラブは、こうした報道倫理を厳守する者によって構成される必要があります。

 記者クラブが主催して行うものの一つに、記者会見があります。公的機関が主催する会見を一律に否定するものではないが、運営などが公的機関の一方的判断によって左右されてしまう危険性をはらんでいます。その意味で、記者会見を記者クラブが主催するのは重要なことです。記者クラブは国民の知る権利にこたえるために、記者会見を取材の場として積極的に活用すべきです。

 記者会見参加者をクラブの構成員に一律に限定するのは適当ではありません。より開かれた会見をそれぞれの記者クラブの実情に合わせて追求していくべきです。公的機関が主催する会見は、当然のことながら、報道に携わる者全てに開かれたものであるべきです。

記者室はなぜ必要か

 報道機関は、公的機関などへの継続的な取材を通じ、国民の知る権利にこたえる重要な責任を負っています。

 一方、公的機関には国民への情報開示義務と説明責任があります。このような関係から、公的機関にかかわる情報を迅速・的確に報道するためのワーキングルームとして公的機関が記者室を設置することは、行政上の責務であると言えます。常時利用可能な記者室があり公的機関に近接して継続取材ができることは、公権力の行使をチェックし、秘匿された情報を発掘していく上でも、大いに意味のあることです。

 ここで注意しなければならないのは、取材・報道のための組織である記者クラブとスペースとしての記者室は、別個のものだということです。

 したがって、記者室を記者クラブ加盟社のみが使う理由はありません。取材の継続性などによる必要度の違いも勘案しながら適正な利用を図っていく必要があります。

 記者室が公有財産の目的外使用に該当しないことは、裁判所の判決や旧大蔵省通達でも認められています。ただし、利用に付随してかかる諸経費については、報道側が応分の負担をすべきです。

 この見解は直接的には公的機関における記者クラブを対象にしたものですが、全国の記者クラブがこれを基本的な指針としながら、自主的にクラブ運営を行うことを期待します。

 言うまでもなく、取材・報道は自由な競争が基本です。記者クラブに属する記者は、クラブの目的と役割を正しく理解し、より質の高い報道を求めて切磋琢磨していかなければなりません。

府大先端科研所長に堂丸氏

 

 大阪府立大学(堺市学園町)は先月二十三日、今月十六日に任期満了を迎える林寿郎先端科学研究所長の後任所長に、同研究所教授で工学博士(有機半導体物性専攻)の堂丸隆祥氏(六一)を選出した。

 任期は十七日の発令日から二年間。同教授は昭和三十九年府立大工学部応用化学科卒業、四十一年同大学院応用化学科専攻修士課程修了、府立放射線中央研究所技師、平成二年同大附属研究所助教授、七年同先端科学研究所教授、現在に至る。