平成14年3月1日号


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「そごう百貨店大阪店」c

文化財級の建築は安易に取り壊すべきではない

地球環境の保全や資源の有効利用の観点からも


 先日、閉鎖しているそごう百貨店大阪店へ出かけた。具体的な建て替え計画が進む前に「ファサード保存」の検討を要望した。御堂筋に沿ったネオ・ゴシックススタイルの大丸百貨店と相並ぶ美しい景観は大切にして欲しいと思ったからである。今さら何を言うのかと言われても最後まで保存のお願いは続けていきたい。

 先日、大阪で活躍している有名な建築家十名にそごう百貨店大阪店の建て替え計画について意見を聞いた。

 「いい建築ではあるが、施主が建て替えると言うのだから仕方がない」「大丸百貨店は残したら良いが、そごうはそれほどとは思わない。それに老朽化が進んでいる。増築を続けているので、地震が来たら持たない」

 「機能主義建築は、機能が終わったら取り壊されても仕方がない。素晴らしい村野建築以上のものを 21世紀初頭に建設する事が、今を生きている建築家の役目である」

 「何時までも過去の建築にこだわる事はない。新しい時代の百貨店を、今の技術・デザインで創れば良い。村野先生もそれを望んでいる」

 酒が入っているせいもあって、建築家の本音が出て面白かった。

 歴史屋は何時も後ばかり見て進歩がない。一度壊して新しい物を建てれば心斎橋も発展するというのである。

 理解出来る部分もあるが、歴史屋として保存についての考え方を述べたい。少しでも理解が得られればと思う。

 \文化財級の建築は、あらゆる努力を払って保存する。それが次の時代の創造を生むので、それを残すのは現代に生きる者の務めである。新しい物を創る意欲に燃えている建築家の気持は分かるが、歴史建築については特別な作法で慎重に臨んで欲しい。

 それには、全面的な保存(凍結保存)・移築保存・ファサード保存・部分保存・イメージ保存などがある。施主が全面建て替えを要求しても歴史建築の保存の意義を説得するぐらいの見識が欲しい。そのために建築家は、歴史建築がその古さを生かして保全・再生され、経営的にも成功している実例を見て欲しい。

 ]スクラップ・アンドビルドの時代が過ぎ、日本人本来のストックの考え方が見直されているように思える。

 地球環境の保全や資源の有効利用など循環型社会の実現のためにも従来のように木造建築を建て替える感覚で安易に、鉄骨造・鉄筋コンクリート造の大建築を取り壊すべきでない。それは単に資源の有効利用の問題ばかりでなく、大建築の取り壊しは時間と労力がかかるのと、周辺に悪い影響を与える。例えば工事中の振動・騒音・粉塵・地盤沈下・工事車両が撒き散らす騒音・取り壊した廃財の処理など社会問題になっている。

 だから、古くなったからと安易に新しい建築を建てるのではなく、今ある物を出来るだけ長く使う事が求められるのである。

 今までスクラップにされてきた数多くの優れた日本の近代建築のためにもそごう百貨店大阪店はリノベーション(改善・改修)して欲しいと思うのである。後世に悔いを残さぬためにも再度保存の検討をお願いしたいのである。

・写真・

 各方面の提出した保存の要望書(2月13日付) 

「喜劇・地獄めぐり・生きているだけで丸もうけ」

中村勘九郎と藤山直美が共演

大阪・松竹座で2日〜27日まで


 客席を爆笑の渦に巻き込んだ。あの「浅草パラダイス」の出演者が帰って来た!

 昭和初期の別府温泉を舞台に、新たに繰り広げる爆笑人情喜劇が道頓堀・大阪松竹座で明日二日から上演される。二十七日まで。

 「喜劇・地獄めぐり・生きているだけで丸もうけ」(作金子成人、補綴・演出ラサール石井)。副題は「別府温泉狂騒曲」。

 物語は別府に逃げ込んだ風来坊の彦八(中村勘九郎)と六平(柄本明)、そして名もなき番頭・善吉(笹野高史)が、世にも恐ろしい別府の四人女・松子(波乃九里子)、竹子(渡辺えり子)、梅子(藤山直美)、珠江(寺島しのぶ)を向こうに回して、上へや下への大騒動。出会って恋して喧嘩して・。まさに人間地獄めぐり。あとはゆっくり温泉天国というお楽しみの舞台だ。

 ほかに、広岡由里子ら。美術・衣装は朝倉摂。音楽は井上尭之

発行所:大阪ジャーナル