平成17年3月1日号
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  柴田正己 戦争遺構研究会代表
     「国枝医院」H


 1度保存された歴史建築が突然破壊とは文化への反逆
 所有者に限界あれば自治体が責任を持って保存へ支援

 旧国枝医院の煉瓦造建築が解体される事が新聞やネットで紹介されたので、各方面から声を頂いた。
  関係者に取っては重要な戦争遺構の破壊だとショックであっても、市民の反応は今一つである。今さらのように戦争遺構の保存の難しさを知らされた。
 10数年前、この建築の取り壊し計画が出た時、各方面に呼びかけて保存の声を上げた。堺市議会でも取り上げられ、所有者の理解もあって、貴重な歴史建築として残す方向で落着いていた。
 その後、大阪府の戦後50周年記念事業の一つとして、国枝医院は重要な戦争遺構として、その他の11件と同様に、歴史を書いた立派な銘板が設置された。その他に(大阪市の生玉公園地下防空壕跡、大阪城公園周辺の戦争の傷跡、旧制北野中学校本館外壁銃弾跡、高槻市のタチソ地下壕跡、枚方市の旧陸軍火薬庫土塁、東大阪市盾津飛行場跡など)。
  多くの人々の努力によって国枝医院は、取り壊しの危機を免れたのであった。当時の新聞やテレビには保存への動きが力強く報道されていた。
 しかし、その甲斐もなく平成16年10月に解体された。これだけの重要な戦争遺構を事前に堺市の関係者が十分話をしながら残す方法を見つけられなかったのは残念でならない。所有者だけでなく、後世に伝えていくべき歴史的な建築については、もっと自治体が責任を持つ必要があるように思うのである。
  次に大阪府知事と堺市長に提出した意見書を紹介する。
 平成17年1月24日
 「旧大阪窯業堺工場事務所跡の説明板設置についての意見書」
 道ばたの文化遺産研究会
(代表 野崎敏生)
 戦争遺構研究会(代表 柴田正己)
  平成16年10月に旧大阪窯業堺工場事務所の建築(国枝医院)が残念なことに取り壊されました。この建築は、近代建築としての価値だけでなく、堺大空襲の被害を受けた戦争遺構としても貴重な建築でありました。大阪府が戦後50周年の節目の年(平成7年)に戦争の悲惨さと平和の尊さを次の世代に伝えていくために大阪府下でリストアップされた貴重な戦争遺構であります(12件)。
  各地の戦争遺構が再評価される中で、この建築は所有者や自治体の理解によって一度は保存されました。
 大阪府・堺市当局によって立派な説明の銘板が設置され、市民の多くは取り壊しの危機を乗り越えて保存されたこの戦争遺構を喜びました。そのような努力と苦労のあとを知っているだけに、突然、取り壊されたことは、市民には信じられないことでした。
 このような貴重な歴史建築や戦争遺構については、今後、このような無謀な破壊を許さないように、自治体として保存について支援する措置を取ることを強く要請します。破壊されたものは二度と返ってきませんが、我々は、この歴史建築を後世に伝えるために跡地に説明板を設置しようと考えています。建設費用は市民のほうで負担しますので、自治体として設置場所について協力を頂ければと思います。
 歴史文化都市堺の再生のために説明板設置にご支援をよろしくお願い申し上げます。
【写真】
  戦争遺構に設置された銘板(95年12月1日、府政だよりNO211)。



  大阪府新年度予算案
    
7年連続赤字予算  〜 一般会計3兆1011億円 〜

 府は先月18日、総額4兆4千61億円の平成17年度当初予算案を発表した。
  一般会計は3兆1千11億円で、前年度当初に比べ2%減の緊縮型。税収は景気の回復傾向を反映して2年連続で前年度当初を上回る額を見込んだが、前年度からの赤字2百89億円を繰り越す7年連続の赤字予算。実質的な財源不足は約1千7百億円に上っており、依然厳しい財政状況が続いている。
 一般会計の歳入のうち府税収入は1兆1千5百3億円で、前年度当初を3百59億円(3・2%)上回った。このうち法人2税(法人事業税、法人府民税)は、前年度当初比で5百79億円(14・9%)上回る4千4百69億円を見込んだ。
  実質的な財源不足は1千6百97億円に上ったが、前年度当初(1千8百2億円)よりやや改善した。財源不足のうち、8割近い1千3百32億円を、減債基金(将来の借金返済のため積み立てている基金)から取り崩して充当する。
 歳出では職員給与のカットや府立大学の独立行政法人化などで人件費を前年度当初比で2百38億円を(2・5%)削減。建設事業費も、前年度当初比で4百82億円(14・1%)の大幅減となり、5年連続の減少となった。
 大阪再生に向けた重点施策に充てる「再生重点枠」では、産業競争力の強化、観光・集客の促進などに約30億円が盛り込まれた。

発行所:大阪ジャーナル