平成17年4月1日号
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 近畿バイオ関連産業プロジェクトの事業化
   産業クラスター計画の成果に芽生え 近畿経産局

  近畿経済産業局は、推進中の産業クラスター計画の一つ「近畿バイオ関連産業プロジェクト」の事業成果をまとめ、発表した。
  主な内容は@知的クラスター創成事業と産業クラスター計画の省庁連携による事業化成果の実現Aインキュベーション整備でバイオ関連企業の集積が進展B地域クラスターを代表する若手研究者の新たなネットワークの形成など。事業展開から4年が経過する産業クラスター計画≠フ様々な成果が着実に芽生え始めてきたことが明かに・・・。
 経済産業省は13年度から「産業クラスター計画」を推進。地域の経産局と民間組織が一体となり、新事業に挑戦する中堅中小企業・ベンチャー企業などが大学、研究機関などのシーズを活用してIT、バイオ、ナノ、環境、ものづくり等の産業集積(産業クラスター)を形成し、ニッポンの競争力向上を図ってきた。現在、全国に19のプロジェクトが展開している。
 近畿経産局では、近畿バイオ関連産業、ものづくり元気企業支援、情報系クラスター振興、近畿エネルギー・環境高度化推進の4プロジェクトを展開中で、このうち、「近畿バイオ関連産業プロジェクト」の事業成果を見るとー
  【知的クラスター創成事業】と【産業クラスター計画】文部科学省の知的クラスター創成事業発の技術シーズを、近畿経産局の産業クラスター計画の施策ツール(地域新生コンソーシアム研究開発事業制度)などを活用し、大学発ベンチャーなど企業や研究機関と共同研究開発を進め、事業化を実現させた事例。
  けいはんなでは「知的クラスター」発の砂糖を原料とした酵素合成アミロースの量産化技術開発(アミロース誘導体の生体内での分解性制御の知見、奈良先端大)のシーズを「産業クラスター計画」の地域新生コンソーシアム研究開発事業で成功させる。
 バイオマスを原料とした省エネルギー型新規生分解性プラスチック材料の開発(平成15ー16年)には江崎グリコ、三和澱粉工業、大阪府大、奈良先端大、京都工繊大、産総研関西センターが共同で取り組んだ。
 澱粉から工業的に生産することが困難であったアミロースを、優れた生分解性を高度な機能を併せ持つ「酵素合成アミロース」の量産化技術は世界で初めて。
 酵素合成アミロースは安価で加工性の高機能素材であり、工業用途としては成形物、包装材料、偏向フィルムや、医療用途開発としては創傷被覆材、汲水性縫合系など幅広い産業分野への応用が可能だ。

野生スイカ

  また、野生スイカに蓄積されるシトルリンの優れた活性酵素消去能力(奈良先端大保有特許の優先的に使用)の技術シーズについて、企業との事業提携をサポート。化粧品会社との事業提携が成立し、NPO・近畿バイオインダストリー振興会議が設立支援した。けいはんなでの大学発バイオベンチャー第1号である植物ハイテック(株)(奈良先端大、近畿大、RITEの教授ら10人により設立=16年4月)で事業化が進展中。
  大阪北部(彩都)でも、山崎・大阪大教授が試作した糖尿病合併症のリスク診断に関与する動脈硬化症発症複合SNPsの固定と発症予測可能なSNPsチップを、地域新生コンソーシアム研究開発事業として設立された大阪大発ベンチャー、(株)サイポストが担当。一般患者向け医療情報提供サービスと製薬メーカー向け販売及び解析受託サービスを展開する予定。
 【インキュベーション整備によるバイオ関連企業の集積が進展】産業クラスター計画の重要な施策ツールである「企業化育成施設(ビジネス・インキュベータ)の整備」を継続した結果、平成16年度において神戸地域に神戸バイオメディカル創造センター、大阪北部に彩都バイオインキュベータなど整備。両地域併せて90社を超えるバイオ関連企業の集積が進展中。
  神戸医療都市・神戸国際ビジネスセンター、キメックセンター、神戸インキュべーションオフィス、先端医療センター、神戸メディカル創造センターなどに医療関連企業73社(17年2月現在)が進出。彩都インキュベータにも昨年7月オープンしたが、早くも19社が進出し満室状態。
  【地域クラスターを代表する若手研究者の新たなネットワークの形成】こうした中、人的ネットワークの観点から、すでにIOPを果たしたアンジェスMGの森下竜一・大阪大学教授(遺伝子治療)や、総合医科学研究所の梶本修身・大阪外大助教授(機能性食品)らを始めとする地域クラスターを代表する若手研究者、22人が参画する「関西バイオの未来を考える会」(NPO法人・近畿バイオインダストリー振興会議内)が発足。地域クラスターの顔ともいえる新たなネットワークの形成を図っている。
 今後17年度の取り組みは、クラスターのコアと位置づける大学発ベンチャーなどの創出・育成支援を強化するなど、より多くの事業化・産業化事例が創出されることを目指す。また、インキュベーション整備を継続するとともに、地域に展開するバイオプロジェクトの事業との連携を充実強化。近畿地域が名実ともに「バイオクラスター」として認知される形成に努める。
 問い合わせは、近畿経済産業局地域経済部バイオインダストリー振興室(06・6966・6163)へ。

発行所:大阪ジャーナル