平成17年6月1日号
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宝塚歌劇団 星組大劇場公演
「長崎しぐれ坂」  
   「ソウル・オブ・シバ!!」

    
トップコンビの湖月わたる・檀れいのさよなら公演
        
檀が退団、最後の熱演、専科の轟悠、松本も特別出演
  現在、宝塚大劇場の星組公演が話題を呼んでいる。専科の轟悠(歌劇団理事)が特別出演して主演。トップコンビの湖月わたると檀れいは今回の舞台が最後となる。檀が退団するからだ。檀はさよならの舞台を連日、艶やかな神田芸者役を務めている。
  宝塚ミュージカルロマン「長崎しぐれ坂」は榎本滋民作の新国劇「江戸無情」を、植田紳爾氏が脚色・演出したもの。時代は江戸末期、長崎の出島はオランダ屋敷、近くには唐人屋敷が並んでいた。長崎奉行の監督下に置かれてはいるものの、治外法権と化していた。そんな中に、江戸の大名屋敷を片っ端から荒し回り、人殺しも重ねた伊佐次(轟)が逃げ込んでいた。すでに五年の歳月が流れたが、唐人たちに守られ役人は手も足も出せなかった。
  その頃、かつて江戸は北町奉行の岡っ引きだった卯之助(湖月)が流れ着いてきた。卯之助は「俺がヤツを捕まえる!」と息巻いていた。さらに二人の幼馴染みで神田芸者だったおしま(檀)もやって来たのだった。
  卯之助はおしまに頼まれ、しぐれ坂に伊佐次を連れて行く。再会する伊佐次とおしま。「久しぶりだねえ」と言うだけで、数年の溝は埋まる二人だったが、思い出だけで生きていけるところではなかった。
 伊佐次の子分らしゃ(安蘭けい)が探り、番ぼら(高央りお)に誘い出され帰って来ない事が判った。伊佐次こそ、おしまと一緒に江戸へ帰りたかったのだが、一歩でも外へ出ると命がない事を一番知っているのは伊佐次だった。伊佐次は子分を集め、らしゃを探すが、見つかった姿は無惨なものだった。
  同心の館岡(立樹遥)が仕組んだものだったが伊佐次たちの怒りは収まらなかった。
  一方、卯之助はおしまの旦那である大坂の和泉屋庄兵衛(立ともみ)に呼び出され、伊佐次とおしまの二人の間がただならぬものだという事を密告。怒る和泉屋は予定を早め、明日出航する事を、おしまに告げるのだった。
  おしまは悩んだ末、大坂へ帰る船に乗る。
  卯之助からおしまの帰坂を知らされ、伊佐次は遂に囲いの外へ出る決心をするが、卯之助は「俺はお前を捕まえるためにやって来たのではない」と本当の理由を語り始めるのだった・・・。
  植田氏は昨年まで阪急電鉄常務、コマ・スタジアム会長、そして宝塚歌劇団理事長を歴任。作・演出は担当するものの共同演出する若手を起用してきた。
  今回は久しぶりの単独演出作品だ。植田氏は「寝る時もしぐれ坂≠フ事が浮かんだ」というほど没頭したという。トップ・オブ・トップの轟に、心境著しい湖月、大輪の花を咲かせる檀のトリオは宝塚のワクを越え、歌舞伎の舞台を連想させるほど格調高く描かれている。踊りの名手・専科の松本悠里も出演。
 主役以外にも、星組若手男役の真飛聖、涼紫央、柚希礼音の三人が伊佐次の子分を演じているが、それぞれ自分たちで役柄をふくらまして研鑽を積んでいる。
  音楽は吉田優子。主題歌「神田慕情」は何度も繰り返し歌われ、思わず口ずさむほど覚えやすい曲。
  ショー「ソウル・オブ・シバ!!」(作・演出藤井大介)は、この世に舞を生み出したとされるシバの魂≠ェ一人の青年に吹き込まれ、その崇高なダンス精神が人々に夢と興奮と熱狂を与えるというストーリー仕立て。
 本公演は二十日まで。
  写真は(C)宝塚歌劇団。

発行所:大阪ジャーナル