平成17年6月1日号
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 「近畿知財戦略本部」を設置 近畿経産局
   中小・ベンチャー企業の知財を保護・活用が狙い

  近畿経済産業局は、近畿地域の中小・ベンチャー企業が知的財産を戦略的に保護・活用できる環境を整備するため、知財に知見のある学識経験者、弁理士、弁護士、公認会計士、企業経営者ら11人で構成する「近畿知財戦略本部」(本部長、福永健文・近畿経済産業局長)を設置。5月27日、他地域に先駆け第一回会合を開きスタートした。
  また、同本部の設置に先立ち、管内の中小・ベンチャー企業などの知的財産に関する課題を把握するための基礎調査(平成16年10月ー同17年3月)を実施。その結果、中小・ベンチャー企業の「知的財産に対する認識が不足」、「社内人材が不足」、「知財関連の情報不足」や、知財関連支援機関についても、「施策が重複」、「広報体制が不十分」といった課題のあることが明かになった。
  こうした課題を解決をするため、近畿知財戦略本部では、知的活用のレベルに向けた人材育成、情報提供体制の構築や、知財関係機関などによる支援活動の一本化に傾注。今後、管内の自治体など関係機関が実施する各種事業への支援も行いながら近畿地域での知的財産関係の中核的機関として活動することとしている。
  地域知財戦略本部の設置については、政府は知的財産立国≠目指しているが、「中小・ベンチャー企業は、大企業に比べ、知的財産への意識が十分とはいえず、また、資金や人材などを知的財産戦略に投入できる状況にはない」と分析。
 経済産業省としては「新産業創造戦略」や内閣の知的財産推進計画2004」(いずれも平成16年5月策定)において、地域ごとに知財戦略本部を整備し、中小・ベンチャー企業向けの知的財産に関する支援策を拡充するように謳っている。
 今回、まとめられた「近畿地域知的財産戦略策定基礎調査報告書」(平成16年10月から同17年3月)によれば、これらの点の存在と支援策の課題を詳しく抽出している。
 域内の中小・ベンチャー企業としては、▽知財マインドの不足や知財戦略の不備▽社内人材不足▽情報の不足▽特許流通事業の活用不十分▽権利侵害への対応力不足▽権利化や製品のための資金不足。
  知財関係支援機関では、▽施策が重複▽広報体制が不十分▽知的財産を事業化するまでの一体的なサポート体制が未整備▽活用できる支援人材の不足や地域間格差▽企業ニーズの発掘が困難ーなど、中小・ベンチャー企業、知財関係機関などの課題を取り上げている。
 これを受けて、近畿知財戦略本部(カッコ内はアクションプラン案)では、@知財活用レベルアップに向けた人材育成(セミナーの開催、研修の実施、中小・ベンチャー企業の技術研修)
  A支援策の有効活用や知財戦略の構築・実践支援のための情報提供体制の構築(HPなどによる支援情報の一元化・タイムリーな提供、中小・ベンチャー企業としての知財戦略事例の収集と普及、知財報告書モデルの作成、知的財産を活用した資金調達の先進事例の収集と普及)
 B企業間交流の促進(中小・ベンチャー企業の知財担当者の交流の場の提供)
  技術シーズの流通促進(特許の提供を希望する企業・大学などと技術導入を希望する企業が直接交流する「特許流通フェア」の開催)
  C知財戦略策定への支援(一定期間、専門家などを中小・ベンチャー企業に派遣し、知財戦略策定を支援)
  D自治体・知財関係支援機関などの支援機関の一本化(自治体・知財関係の支援機関・人材相互の情報を交換、連絡体制を構築)ーなど、近畿知財戦略推進計画に盛り込み、事業の具体化を「ワーキンググループ」で検討し、早期に実施する。
  近畿地域の知的財産に関する特徴をみると、経済規模に比べ、知財活動が活発で全国のトップに位置している。バイオ、ものづくり(ナノテク)、IT、エネルギー・環境などの成長分野を含め、ベンチャー精神にあふれた研究開発型中小・ベンチャー企業が活躍。また、多様な分野に高度な加工技術、ノウハウを活かしトップシェアを占める基盤技術産業の企業層が厚い。
 (平成15年の近畿地域からの特許・意匠・商標・実用新案出願件数はそれぞれ23・3%、33・5%、20・9%、22・0%を占める。また平成5年から14年の発明者数(累計)でも22・6%、PCT出願件数でも25・7%と、いずれも域内総生産や人口、事業所数といった経済規模を現す指標の全国シェア(約17%)を上回り、民間企業を中心とした旺盛な知財活動が伺える)
  加えて、大企業や大学、官民の研究機関が集積し、技術移転に供される優れた技術シーズ(開放特許)が豊富に存在、さらに知財インフラが充実しているなど、近畿地域の強みで、ポテンシャルは極めて高い。
  (大企業、大学で優れた技術シーズ開放特許≠蓄積。特許流通データベースに登録中の開放特許件数を情報登録者の地域別でみると、近畿は29・1%と経済規模(約16%)を上回るシェアを占めている)
  一方、知財専門の部署や人材を保有する余裕のない従業員10人未満の零細事業所の割合が高く、またアジア諸国とのビジネスのつながりが深く、これらの国による模倣被害を受けやすいなど、弱みとなっている。
  問い合わせは近畿経済産業局地域経済部特許室(電話06・6966・6016)へ。

発行所:大阪ジャーナル