平成17年7月1日号
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  16年度末、「大学ベンチャー1113社」が創出
           全国の約20%を占める近畿経産局管内


  経済産業省は、大学の「和」をビジネスの核として設立する大学発ベンチャーの創出を促進するため、平成13年5月に平成16年度末を目標とした「大学発ベンチャー1000社計画」を発表。産学官一体となって大学発ベンチャーに対する支援を講じてきたが、今年6月、企業設立数が1113社(確報値)に達したとする「平成16年度大学発ベンチャーに関する基礎調査報告書」(2004年度末)を取りまとめた。
  4月に発表した速報値では1099社だったが、その後さらに情報を収集・精査した結果、今回の大学発ベンチャー設立数1113社と同省サイトで公表した。
  近畿地域では、4月の速報時点で全国の大学ベンチャー企業数1099社(6月の確報値、1113社)のうち、近畿地域の大学発ベンチャー企業数は220社に達し、全国の約20%を占めるなど、事業分野ではバイオ系、素材・材料系が高い比率を示した。
  その大学発ベンチャーの事業分野比率を全国と比較しても、近畿地域は「バイオ系」が43・6%(全国38・1%)と突出している。次いで「素材・材料系」の比率も15%(同11・3%)と高い。半面、「IT系」(ハード、ソフト)の比率はハードウェア7・3%(全国11%)、ソフトウェア27・3%(同30・0%)とやや低いことが判った。
  府県別・大学別企業数では、大阪府が全国2位(企業数82)、京都府が3位(同70)、兵庫県が8位(同34)で、京都、兵庫は昨年度より順位が1つ上位に。大学別では、大阪大学が全国3位(企業数54)、京都大学が全国4位(同51)と、いずれも昨年度と同順位だった。=図を参照。
 近畿地域のトップ10を見ると、@大阪大学A京都大学B神戸大学C龍谷大学D立命館大学E京都工芸繊維大学F近畿大学G大阪府立大学H同志社大学I奈良先端科学大学院大学、大阪産業大学の純。
 それに近畿地域の大学発ベンチャーの全国への経済波及効果(平成12年度産業関連表=全国=に基づく、全産業平均の生産額に対する中間投入額の割合、及び産業誘発係数を用いた推計値)は約593億円(全国2965億円)。直接効果323億円(全国、近畿とも平均売上、147百万円/社に企業数を乗じたもの、同1615億円)と推計される。今後さらに、成長企業の拡大、関連産業の集積や産業ネットワークの進展による経済波及効果の拡大に期待が寄せられている。
 元々、大学発ベンチャー創出の目的と背景は何か。経済産業省は、バブル経済が崩壊して早や10年。国内の長引く不況と少子・高齢化が進む一方で、国際的には中国をはじめとする東アジアの急速な成長や21世紀に入り、BRIC3(ブラジル、ロシア、インド、中国)の市場環境が整備され経済大国へのTakeーoff。
 従って、わが国産業の競争力を付加するため、次代の産業社会を切り拓くハイテク型(ブレークスルー型)などの研究開発型ベンチャー起業家は、大企業からのスピンオフベンチャーと、大学発ベンチャーによっての輩出が期待される。このほど大学などの研究成果を事業化する「大学発ベンチャー1000社計画」の目標が確認されたことは大きい。
 近畿経済産業局産学官連携推進課でも、関係機関との相互事業協力、産業クラスター計画との連携などにより、大学発ベンチャー創出・支援の継続と、成功事例の輩出へ積極的に取り組んでいる。
 「大学発ベンチャー創出・支援ネットワーク近畿」(現在41機関で構成)の場を活用した、関係機関の相互事業協力による企業支援や、支援ニーズを有する企業への個別訪問。コンソーシアム事業などを活用した支援など産業クラスター計画との連携を強化。
 それに、「大学連携型インキュベータ」の設置を支援。平成17年度新規施策「大学発ベンチャー支援者コミュニティ形成促進事業」(産業クラスター関連補助金)を活用した、大学などの拠点における大学発ベンチャー創出・支援ネットワークの形成を支援。
 関連施策の活用も重視。「大学発ベンチャー経営支援事業」(経営支援の専門家を派遣)「マッチングファンド」(NEDO)、各種補助金などを有効に活用して、大学発ベンチャーの成長を支援している。この他、先導的な調査を実施し、成果を普及。例えば近畿地域における中小・ベンチャー企業の知的財産権戦略基礎調査」を平成17年3月にまとめている。
 本件調査は、事前に大学発ベンチャーなど各種ヒアリング調査など100社サンプル調査を実施。大学発ベンチャーが直面する課題・問題点を的確に捉えた。
 また、大学ベンチャー創出状況に関するアンケート票を全国の大学(VBL、TLO、知的財産本部、地域共同研究センター、産学連携組織など)、全国の工業高等専門学校、地域プラットフォームに送付。さらに各地域経産局も独自に把握した情報、DND、新聞・雑誌、日本ベンチャー学会、産学連携学会など多様なルートを活用して情報収集を行った。今後、大学ベンチャーの成長を促進するために必要となる施策の検討などに生かされる。
 問い合わせは近畿経済産業局地域経済部・産学官連携推進課(06・6966・6146)へ。

発行所:大阪ジャーナル