平成17年8月1日号
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  先進事例に学ぶ!中堅・中小分野への進出
           25日 第1回バイオ関連産業促進セミナー


  近畿経済産業局が展開している「近畿バイオ関連産業プロジェクト」活動により、創薬分野における大学発ベンチャーの輩出など、大学ベンチャーを中心としたコアテクノロジーの開発に成果が出始めている。
  一方、バイオ産業の集積が今後、着実に発展し、地域で相乗効果を発揮していくために、同局はNPO法人・近畿バイオインダストリー振興会議とともに中堅・中小企業のバイオ関連産業への進出について先進企業などのヒアリング調査(企業13、医療機関・大学3、サポート4、計20カ所)を実施。「中小企業におけるバイオテクノロジー活用によるバイオ関連産業への進出促進方策検討調査報告書」を取りまとめた。
  また、成功事例の紹介や進出の機会づくりの場として、ものづくり企業の集積地、東大阪市のクリエーション・コア東大阪で8月25日、「第一回バイオ関連産業進出促進セミナー」を9月22日には尼崎市総合文化センターで「第二回バイオ関連産業進出促進セミナー」を開催。いずれもコア技術を生かしバイオ市場で新たなビジネスチャンスを掴む有用情報を発信する。
  調査報告書によると、コア技術を生かして新事業を模索する中で、その結果の一つとしてバイオ関連産業に進出したケースが多い。これら企業は、顧客ニーズや市場ニーズを的確に把握している。ニーズの把握については、公的機関による出会いの場がきっかけに。
  しかし、バイオ分野進出への障害として@ニーズ把握や企画の難しさA敷居の高さB薬事法の規制などーが指摘されている。
  新たなビジネスチャンスとして、バイオ分野に興味はあるが、どこにどのようなニーズがあるのか、自らの技術をバイオのどこに活用するのかが判らない企業が多いのでは。特に医療業界には独特の風土や慣習があるという点、薬事法関連の申請手続きや臨床試験などのハードルが高い。
 こうした中で、ヒアリング企業は、自社のしっかりしたコア技術を大前提にバイオ分野を含め多方面に情報収集のアンテナを張り巡らした結果が、医療・研究現場のニーズを知ることにつながったとしている。
  一方で、これまで大企業からの受注開発が多かった企業は、一般的には営業・販売面は弱いことや、人の紹介がないと話を聞いて貰えないなどの医療業界独特の敷居もあり、ニーズの把握や販売方法を模索している。「企業独自での努力に加え、これらの障害を克服する際には、公的機関の活用やサポートが有効であった」としている。例えば、ヒアリング企業に同行している地元自治体(神戸市)=図参照=は、医療産業振興という観点から、これら企業に同行し地元の病院を回るなど支援を実施した。
  また、企業が共同出資し、開発した医療機器の販売やコンサルティングを実施する新会社「神戸バイオメディクス」を設立。同社に対しても自治体は薬事法を始め医療産業分野への進出の相談窓口を「神戸先端医療振興財団」に設置するなど、サポートを継続している。
  他方、医療・研究現場のニーズを把握し、共同研究につなげるという点では大阪商工会議所が実施している「次世代医療システム産業化フォーラム」が有効なきっかけになった事例も。
  バイオ関連産業への代表的な進出パターンごとに事例(分析)を紹介する。
  ◇A社=特殊めっき表面加工処理技術を「コアにある強み」を生かした上で、大手商社と提携。取引先などからのニーズを踏まえて進出。米国の医療機器メーカーからDNA増幅装置の開発依頼を成功させるなどコア技術がバイオ分野で活用できることを認識。また、大阪商工会議所の紹介で奈良先端科学技術大学院大学のバイオ系大学研究者との出会いが大きなきっかけになった。技術一辺倒ではなく、マネジメントや営業を重視している点も特徴だ。
 ◇B社=理化学機器販売からの第2創業、大学と連携して事業展開。創業者は、元々理化学機器商社のオーナーの一員。バイオ関連機器の販売だけでは事業拡大に限界があると考え、新事業を模索。元々バイオ分野の大学研究者の人脈が豊富で、そうした研究者のアドバイスを受けバイオベンチャーを新たに設立した。
  ◇C社=本業は土木・建築関連の試験計測機器の製造販売でニッチトップの部門を有する。バイオ分野への進出は、大阪商工会議所の「次世代医療システム産業化フォーラム」に参加し医療現場や大学研究者のニーズに出会えたことがきっかけ。フォーラムで発表された阪大病院研究者のニーズを実現するワーキングメンバーに応募。同社のコア技術を活用し、注射練習用の人工腕を開発した。
  第一回「バイオ関連産業進出促進セミナー」の内容は、武内勇・ミレニアムゲートテクノロジー社長が「コア技術を生かしたバイオ関連産業への進出」をテーマに基調講演。伊藤哲郎・近畿経済産業局バイオインダストリー振興室長が「バイオ関連産業への進出促進方策検討調査」結果を報告する。あと事例紹介が続く。
  ▽「医療・研究現場に眠るニーズ、ものづくり企業へ(佐野浩一・大阪医科大学教授)▽「ものづくり技術を生かした医療・バイオ産業への進出」(園井健敏・マルイ社長)ほか2件。
  問い合わせ先は近畿経済産業局地域経済部バイオインダストリー振興室(06・6966・6163)へ。

発行所:大阪ジャーナル