平成17年9月1日号
7ページ

  




 関西外大短大部講師・映画評論家  奥田均氏
                       タイ映画「最新レポート」
 


「トム・ヤン・クン」・前作「マッハ!」で見せた
超絶アクション再演、トニー・ジャー主演で大人気

 昨年、大ヒットしたタイのムエタイ・アクション映画「マッハ!」。
  ワイヤー、CGなど一切使わない生のド迫力に、日本中が驚いた。続編ともいえる「トム・ヤン・クン(原題)」(配給ギャガ・コミュニケーションズ)が本場のタイ・バンコクなどで一斉公開された。
  タイ映画に詳しい関西外国語大学短期大学部講師で映画評論家の奥田均氏が公開初日に飛び、ひと足早く見てきた。さっそく現地リポートを・・・。
  タイ映画の印象は「マッハ!」で一変した。主演のトニー・ジャーは、鍛えぬかれた肉体を唯一の武器に蹴る、打つ、飛ぶのアクションを連発し、映画の原点である「理屈抜きの面白さ」を堪能させてくれた。何年ぶりの事だろうか!?
  8月、平均気温35度というタイ王国の首都バンコクへ飛んだ。いつもは関西国際空港から直行便を使うのだが、お盆休みも重なって、成田経由のバンコク行きに乗った。国際線の畿内は最近、充実していて、わが国未公開のハリウッド映画を何カ月先も前に見せてくれる。
  バンコク市内は相変わらずの蒸し暑さだったが、一年で一番暑い季節は過ぎたようで、夕方になると、気温は22、3度あたりまで下がる。メイン通りのスクンビット通りは「トム・ヤン・クン」の公開前の予告看板がいたるところにあった。といっても違法掲示は一切なく、日本と随分違うなと感じた。
  初日は11日。翌日は王妃陛下の誕生日に当たり、国民の休日・母の日。映画館じゃいつも出かける大型商業使節のエンポリウム6階のSFXシネマ。一番大きいシアター「4」へ。3つのシアターで上映されている。
 一番最初、画面に映るのはなんと象≠ネのだ。地上で一番大きな動物が、この作品のキーポイントだ。タイ北部のある農村に象を愛する一家がいる。父親は象使い。息子のカーム(トニー・ジャー)は親子の象と暮らしながらムエタイも入れた武術を学んでいた。
  そんな静かな村に突如、マフィアが襲った。象を密輸すると大儲けできるからだ。ジープや散弾銃などの武器を使い、象を守ろうとする父親を殺し、バンコクへ持ち帰ろうとする。
  しかし、なかなか捕まえられない。マフィアは一計を案じ、親象を殺して、子象を捕まえようというもの。家を出ていたスキに奪われそうになった子象を救うためカームは鬼の形相でバンコクへ向かう。
  カームのムエタイ・アクションが爆発するも、一進一退をしながらも、マフィアは逃げ切ってしまう。なんと、マフィアの親分は女ボスだった(仕掛けあり)。

大爆笑の渦

  次の場面は、いきなりオーストラリアのシドニーに切り替わる。その瞬間、場内は大爆笑の渦に巻き込まれた。警官がテレビリポーターの取材を受けている場面なのだが、警官役がマムというタイ芸能界ナンバーワンのコメディアンだからだ。映画・テレビで大活躍の人で、監督もこなす才人。しばらくマムの場面が続くのだが、観客の全員がマムの演技に酔いしびれている様子。
  この後は、マムも引き込み、カーム、マフィア、警察の三つ巴の大アクションが繰り広げられる。ボートを使った水上アクションは大迫力だし、室内シーンになると、2メートルはありそうな巨大な悪役が登場し、クライマックスに至る。
  結末は・・・あえて言いませんが、お察しの通りです!
  とにもかくにも、トニー・ジャーの一人舞台。ヒロインはボンコット・コンマライ。なかなかの美人スター。見せ場はジャグジー風呂のセクシー肢体。
  ゲスト出演はジャッキー・チェンら。
  監督は前作「マッハ!」に引き続いて、プラッチャー・ビンゲーオ。アクション監督はパンナー・リットグライ。タイ映画史上、2番目という製作費を投入し、全世界公開を目指す大作。オーストラリア・ロケが80%を占める。日本公開は来年。先に触れた8月12日の国民の休日。歓楽街はシャッターが締り、レストランでも酒類が一切出せないという決まりがある。来年行かれる方はご注意を。

発行所:大阪ジャーナル