平成17年12月1日号
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  大阪府は男女共同参画社会の実現に向けて、先駆的に活躍をした個人、団体・グループを顕彰する「大阪府女性基金プリムラ賞」を平成5年から制定。第13回目を迎える今年度の受賞者は世界的女性物理学者の米沢富美子さん=慶応議塾大学名誉教授(六七)と自然環境を守る里山倶楽部理事の寺川裕子さん(四四)、また団体では有限会社いずみの里(代表取締役・久保充己氏)を選定した。米沢さんには同プリムラ大賞(表彰状及び副賞50万円)、寺川さんといずみの里には同奨励賞(表彰状及び副賞25万円)がそれぞれ贈られた。なお受賞講演会は今月9日午後夕からドーンセンター7階ホール(中央区大手前)で行われる。

第13回「大阪府女性基金プリムラ賞」選定

12月9日夕、ドーンセンター(中央区大手前)で受賞者講演会


  米沢さんが大賞を受賞した理由は、彼女が研究者の道を選んだ頃は、今以上に理工系分野での女性科学者がいない時代。その中で世界的な業績を残しながら結婚や子育てを両立させて来たのは、まさに働く女性の先駆けだった。さらに平成8年には男性会員が圧倒的に多い日本物理学会の初の女性会長(現時点においても唯一の女性)に就任、持ち前の指導力でその激務を全うした。
  日本では特に女性の理工系研究者の割合が欧米に比較して極めて低い中、日本物理学会の会長を務め、また研究分野においても世界的な実績を残してきた功績は科学者を志す女性だけでなく、多くの女性に勇気と希望を持たらし、女性の地位向上やあらゆる分野への参画促進に寄与し、男女共同参画社会の実現に向けて大きく貢献するものである。

米沢さん「女性の科学者志望に勇気と希望を持たせる先駆者」 
寺川さん「里山保全活動に20年も献身、行政と市民協働を推進」
いずみの里「農産物加工販売で成功、農家女性起業の好事例」 

 略歴ー昭和13年吹田市に生まれ、府立茨木高校から京都大学理学部へ進学、物性物理(物質の性質を探求する物理学)を専攻、同大学院では「不規則系」を研究テーマに勉学、さらに同博士課程3年の時、「コヒーレントポテンシャル近似」(電子状態を計算する手法)に関する論文をまとめたのを皮切りに、世界的に高い評価を得た。昭和56年慶応議塾大学理工学部教授、同59年第4回猿橋賞、平成元年科学技術長官賞、同12年日本学術会議第18期会員、同17年ロレアル・ユネスコ女性科学賞など数多く受賞している。
  寺川さん奨励賞受賞理由。
  彼女は昭和61年に(社)大阪自然環境保全協会の会員になって以来、里山を守る事や自然を生かした公園づくりの活動に携わってきた。バブル景気時代には住宅などの開発が進み、南河内の山々が荒れていった時に、その山々を「どうにかしよう」と、活動仲間が集まって平成元年に、現在の里山倶楽部の前身である「南河内水と緑の会」を結成し、代表に就任。当時、「里山」という言葉も、あまり一般には知られておらず、里山の保全に関する活動は草の根的な市民活動だった。
  近年になって、身近な環境への関心の高まりや里山の持つ様々な機能が注目されるようになってきたのを受け、里山保全への関心が高まり、行政などにおいても里山保全への取り組みが行われてきた。彼女はこれまでの活動を通じて培ってきた市民参加のノウハウの提供やワークショップの企画・運営を通じて府民と行政の協働を推進してきた。今後も男女共同参画社会の実現に向けて一層の活躍が期待される。
  (有)いずみの里(代表取締役・久保充己氏)奨励賞受賞理由
  和泉市内の3つの生活改善グループの女性有志50人が10万円ずつ出資して、平成13年に設立。同社は大阪府内で初の農家女性による法人組織、その構成員の世代は30歳代・70歳代と非常に幅広く、農村地域のコミュニケーションの良さや各人の得意分野を生かして活動してきた。メンバー自ら作った地元農産物を原材料として、安全で安心かつ本物の味、「昔ながらの、おかあちゃんの味」の農産物加工品を作り、朝市や泉北高速鉄道の和泉中央駅構内などで販売している。また商品のうち、みそなどについては、市内の小学校の給食にも提供し、地域の子供たちに本当の味を届けている。さらに農産物加工、販売だけでなく、小中学生や市民に対する、みそ作り講習や都市住民に対する農業体験実習などの活動も行っており、地域での交流、都市部と農村部との交流にも貢献している。このような活動は、農家女性による起業の好事例であるばかりでなく、これからの女性の起業の一つの方向性を示すもので、同社は男女共同参画社会の実現に向けて今後一層の活躍が期待できる。

発行所:大阪ジャーナル